研究の目的と背景
オフィス勤務やハイブリッド勤務が普及する中で、多くの労働者が勤務時間中に長時間座って過ごす傾向にあります。長時間の座位行動と身体活動不足は、労働者の心身の健康だけでなく、組織全体の健全性にも影響を及ぼすことが懸念されています。本研究は、高額な費用や大きな業務負担を伴わずに、能動的な行動を支援できる実践的な職場での取り組みを確立することを目的としています。
具体的には、実際のオフィス環境において、低コストで多要素の職場介入によって身体活動の促進効果を検証することを目指しています。専門的な機器や特別な職場内運動プログラムに頼るのではなく、日常の業務に大きな支障をきたさずに組み込める戦略に焦点を当てています。これにより、さまざまな組織で実施可能かつ拡大しやすい形で、職場の健康増進プログラムがオフィスワーカーのより健康的な身体活動行動をどのように支援できるかについて、実践的なエビデンスを提供することを目指しています。

研究デザインとアプローチ
本研究は、クラスターランダム化比較試験として設計されています。企業または事業所が「クラスター」と呼ばれる参加単位となり、これらを対照群と介入群に割り付けて比較することで、プログラムの効果を検証します。介入期間は3ヵ月間です。対照群に割り付けられた場合は、3ヵ月間の観察期間後に、3ヵ月間の介入プログラムが提供されます。介入プログラムは、主にオンライン教材を通じて提供され、就業時間中および就業時間外の身体活動を促進し、労働者の行動変容を実践的な形で支援することを目的として設計されています。
本介入の主な特徴は以下の通りです。
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低コストでの実施
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特別の機器は不要
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いつでもアクセスできるオンライン教材(ポスター、動画など)
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日常の業務への支障が最小限
参加できる企業・事業所
本研究では、日本全国の企業および事業所からの研究参加を呼びかけています。企業の所在地、規模、業種、組織形態についての制限はありません。オフィス勤務、ハイブリッド勤務、テレワーク環境のいずれでも参加対象となります。参加は、企業または事業所単位で登録されます。企業・事業所の担当者が本研究に参加登録した後、個々の従業員がプログラムに参加するかどうかを判断することになります。可能であれば、職場全体で参加した方が、高い効果が期待できるでしょう。
協力いただく内容
参加企業・事業所の従業員には、次のことをお願いする予定です。
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介入期間中に提供される身体活動促進のための資料に基づき、身体活動促進に取り組むこと
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身体活動および関連指標(心理・社会的な指標)への効果を検証するために、ベースライン、3ヵ月後、および6ヵ月後の3回、オンライン質問票への回答と活動量計を2週間装着すること
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介入終了後、一部の参加者には、本プロジェクトに関する感想や意見を聴取するため、グループインタビューへの参加をお願いすること
すべての手続きは負担を最小限に抑えるよう設計されており、通常の業務と並行して実施することが可能です。
期待される効果
本研究プロジェクトは、筑波大学を代表機関としつつ、複数の大学・研究所の研究者で構成されたチームにより進められており、豊富な研究知見と経験に基づいた実践的な職場介入プログラムが提供されます。本研究に参加することにより、個人レベルおよび組織レベルの両方で効果が認められることが期待されています。従業員にとっては、本プロジェクトへの参加により、身体活動への意識が高まり、心身の健康を支援し、より活動的に日常生活を送れるようになることが期待されます。組織にとっては、本プロジェクトへの参加により、従業員の健康増進に対して、科学的根拠に基づいた支援が可能となり、職場の健康づくりの機運の高まりが期待できます。
研究参加申込と問い合わせ先
本研究に参加を希望される場合は、下記の申込フォームからご登録ください。
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参加申込締め切り:2026年6月30日
申込後、研究実施内容の詳細について説明の機会が設定され、そこで改めて参加可否を判断いただくことになります。
本研究について確認事項等がありましたら、研究責任者までお問い合わせください。
筑波大学体育系教授 中田由夫
nakata.yoshio.gn@u.tsukuba.ac.jp
関連情報
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オフィス労働者の身体活動量を高めるための包括的・多要素プログラムの提案: https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20220218140000.html
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オフィス労働者の身体活動を促進する 包括的・多要素プログラムの実施可能性: https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20221223140000.html#
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多要素プログラムによりリモート労働者の身体活動が促進される: https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20240917100000.html





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