正社員の「静かな退職」実施状況と年代別傾向
20~50代の正社員に「静かな退職」をしているか尋ねたところ、46.7%が実施していると回答し、前年より2.2ポイント微増しました。年代別では、20代が50.5%で最も高く、次いで30代(49.1%)、50代(46.7%)、40代(42.3%)と続いています。全ての年代で4割以上が「静かな退職」をしていることが示されました。


「静かな退職」のきっかけ4タイプ
「静かな退職」をしている人に対し、そのきっかけを4つのタイプに分類して尋ねたところ、「D 無関心タイプ(20.6%)」が最多となりました。続いて「C 損得重視タイプ(18.8%)」、「B 評価不満タイプ(17.0%)」、「A 不一致タイプ(16.0%)」という結果です。
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A 不一致タイプ: 仕事や環境の不適合による意欲低下(例:今の職場にはやりがいがある仕事がない)
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B 評価不満タイプ: 処遇や評価に対する不平不満がある(例:自分で仕事を行い、面談時にアピールしても評価をされないから)
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C 損得重視タイプ: 損得を考えて静かな退職を実施(例:キャリアアップは責任が重くなるだけなので望まない。日々の業務をこなすだけで別に不満はない、と思ったから)
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D 無関心タイプ: 価値観として変化や上昇を求めない(例:キャリアアップすることに興味がないから)

「静かな退職」継続意向
「静かな退職」をしている人の73.7%が「今後も続けたい」と回答しました。これは前年(70.4%)から微増しています。「働いている間はずっと続けたい」と回答した人は28.8%で最多でした。年代別では50代が76.7%と最も高く、20代では29.4%が「続けたくない」と回答するなど、年代によって差が見られますが、全ての年代で7割以上が継続を希望しています。このことから、「静かな退職」が働き方の選択肢として定着していく可能性がうかがえます。

企業側の制度と「静かな退職」の関係
企業の中途採用担当者への調査では、異動や転勤、キャリアパスの選択において「会社の指示が強い」と回答した割合が41.9%に上り、「個人の希望が強い」の12.4%を大きく上回りました。このような企業の実態が、「不一致タイプ」の「静かな退職」の要因になっている可能性が考えられます。
また、評価における目標設定は「会社や上司の決定」で行われる割合が高く(33.7%)、評価基準や結果が「公開されない」(27.6%)企業も一定数存在しています。「評価不満タイプ」の「静かな退職」は、こうした評価の透明性の低さから発生している可能性も示唆されました。

企業の中途採用担当者の「静かな退職」への見解
企業の中途採用担当者の42.2%が「静かな退職」に「賛成」しており、「反対」(30.1%)を12.1ポイント上回りました。賛成意見としては「人それぞれにあった仕事をしてほしい」「決められたことをきちんとこなす社員も一定数必要」といった声が見られます。
一方で、反対意見としては「企業としての成長や技術への適応が遅れる懸念がある」「全体の生産性や精神面での悪い影響の伝播」などが挙げられました。個人の価値観を尊重する一方で、長期的な視点での懸念も存在することがわかります。

調査概要
今回の調査は以下の要領で実施されました。
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<個人向け調査>
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調査期間:2025年11月18日~11月21日
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調査方法:インターネット調査
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調査対象:20~59歳の正社員の男女
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有効回答数:3,000件
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<企業向け調査>
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調査期間:2026年1月5日~1月8日
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調査方法:インターネット調査
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調査対象:従業員数3名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、中途採用業務を担当している人のうち、前月採用活動を行った人、今後3か月で採用活動を行う予定の人、直近3カ月に中途入社者がいた人
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有効回答数:807件
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より詳細な調査結果は、以下のURLで確認できます。
まとめ
今回の調査結果から、正社員の約半数が「静かな退職」を実践し、その多くが今後も継続を希望していることが示されました。企業側もこの働き方に対し一定の理解を示している一方で、企業や個人の将来に対する不安の声も上がっています。
「静かな退職」は必ずしもキャリアの選択肢を狭めるものではなく、多様な働き方の一つとして広がっています。しかし、異動や評価制度といった日本型雇用を前提とした仕組みが残る中で、企業と個人の意向にズレが生じ、「不本意な」形で「静かな退職」を選択している人もいることが明らかになりました。
企業には、こうしたズレを見直し、個人の価値観やライフスタイルに応じた柔軟な働き方を受け入れるとともに、自律的なキャリア形成を支える環境づくりが求められています。






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