セミナー開催の背景と目的
日本の労働市場は、人口減少とスキルの陳腐化という二重の課題に直面しています。2026年2月時点の有効求人倍率は1.19倍に達する一方で、日本の労働生産性はOECD加盟38か国中29位にとどまっており、人材の確保と活用の両面で構造的な課題が浮き彫りになっています(経済産業省「人的資本可視化指針」より)。
労働市場の推計によると、2035年の労働力不足は1日あたり1,775万時間(働き手換算で384万人)に達し、2023年比で1.85倍深刻になると予測されています(パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2035」(2024年10月)より)。さらに、従業員のスキルを把握できていない企業が85.1%に上るという実態も明らかになっており、人材の「確保」だけでなく「可視化・活用」の取り組みが急務です。このような状況下で、企業が持続的に成長するには、従来の自社内での人材管理を前提とした人事戦略から、経営戦略を実現するための人材活用へと視点を転換させることが不可欠であるとされています。本セミナーは、生産性と競争力を高める人的資本経営の具体的な実践手法を提示することを目的として開催されました。
セミナーの主なトピック
1. 人事制度を経営戦略の「OS」へと再定義
旧来の年功序列や画一的な人事制度は、変化の激しい現代の事業環境では機能不全に陥る可能性があります。これからの人的資本経営においては、人事制度を単なる査定の道具ではなく、経営戦略を現場に実装するための「OS」として再設計・昇華する必要がある、と中島氏は提言しました。

具体的には、以下の3つの要素が挙げられました。
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等級: 各ポジションに期待する役割と責任を定義し、現場の行動を戦略に結びつけます。
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評価: 重視する成果や行動を明確化・定量化し、継続的な改善サイクルを回します。
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報酬: 社員の貢献に報いる基準を設計し、自律的な行動を促す動機付けとして機能させます。
2. 戦略と連動した「動的人材ポートフォリオ」の構築
人手不足時代に競争力を高める条件として、戦略上重要なポジションを特定し、そこへ能動的かつ重点的にリソースを配分できる組織構造が求められています。
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ギャップの定量化: 現状(As-is)と目指すべき姿(To-be)のギャップを定量的に把握し、スキルを可視化します。
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一体設計: 再配置、育成、採用、そして外部活用を統合的に設計し、動的な人材フローを実現します。
3. 「内部労働市場」の構築による自律的な組織づくり
人材の確保・定着に向けては、外部採用の強化だけでなく、社内における人材の流動性を高める仕組みづくりが重要です。セミナーでは、自律と挑戦が循環する「内部労働市場」の構築として、以下のような取り組みが紹介されました。
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社内公募・FA制度: 管理職登用を含む全ポジションを公募の対象とし、社員が自律的にキャリアを選択できる環境を整備します。
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職務記述書と期待成果の明示: 職務記述書で役割・期待成果・必要スキルを明確にし、社員が自分のキャリアを主体的に描ける基盤をつくります。
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1on1コーチング: 定期的な面談でキャリア相談を実施し、挑戦を後押しするコーチング体制を整備します。
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副業・越境学習の解禁: 社外の知見を社内に取り込むとともに、社員が新たなスキルを習得できる環境を広げます。
「人が替わっても組織が機能する仕組み」を構築し、標準化された運用と継続的な改善サイクルを組織に根付かせることが、人手不足時代における持続的な競争力となると提言されました。
4. DX・データ活用の落とし穴と運用の定着
DXを何らかの形で実行した企業の割合は96%に上る一方、成果が不明な企業は21.4%に達し、DXに必要なスキルを把握できていない企業も57.1%に上るという現実があります。
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スキル定義の重要性: スキル定義が明確ではない変革は現場の混乱を招くため、確実なKPI設計とモニタリングが不可欠です。
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運用と定着: 制度設計だけでなく、現場での運用定着までコミットすることが、強い組織づくりの成功の鍵となります。
DXに着手している企業の96%が、全社的または戦略的な成果を測れず不透明な状態であるという実態が指摘されました。
5. 「外部人材」は補完ではなく価値共創の「パートナー」
正規雇用だけに限定した組織はいずれ限界を迎えます。人的資本経営の本質は「誰を雇うか」ではなく、「誰と価値を共創するか」にあります。最新の知見を持つ外部人材を単なる人手不足の補填ではなく、共に「価値を創るパートナー」として位置づけることで、経営における意思決定の質を高め、人材育成や変化への対応力を飛躍的に向上させることが可能であると説明されました。
登壇者情報

株式会社CAQNAL(カクナル) 代表取締役 中島 篤(ナカシマアツシ)
iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授、地方創生アドバイザーも務める中島氏は、1976年福島県生まれです。東北学院大学2部経済学科を卒業後、2001年にスターバックスコーヒージャパンに入社し、その後ユニクロをはじめ、複数の業界・企業で現場・人事部長およびコンサルタントとして従事しました。2011年の東日本大震災を機に働き方改革や地方創生に関心を持ち、フリーランスとして活動した後、株式会社CAQNALを創立しました。現場経験を活かした伴走型コンサルタントとして、リアルな組織診断とその具体的な解決を信条とし、慣例や既成概念に囚われないブランディング・制度設計・研修を実施しています。自身も積極的にテレワーク・ワーケーションを行い、様々な地域で食と酒を楽しんでいます。
株式会社CAQNAL(カクナル)について
「人のチカラで『場』を興(おこ)す」というミッションの下、大手企業からベンチャー、行政や自治体などさまざまな組織の価値を向上させるコンサルティング・グループです。組織人事、採用/転職、人事制度、労務、DX、業務効率化を中心に幅広い領域を支援しています。豊富な実務経験を兼ね備えた専門家集団として、企画やノウハウの提供だけでなく制度の定着まで伴走する支援スタイルを強みとしています。
会社概要
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代表取締役: 中島 篤
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設立: 2018年1月
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所在地:
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本社:東京都港区六本木7-12-2 R7ビルディング SPACES六本木
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東北拠点:宮城県仙台市青葉区花京院1-2-15ソララプラザ3F SPACES仙台
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中部拠点:愛知県名古屋市西区名駅2−34−17 セントラル名古屋 1101
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関西拠点:大阪府大阪市福島区福島7-1-10Wiz fukushima 2F GRANDSLAM 239
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業務内容: 組織人事開発・地方創生・DXコンサルティング・人材紹介・新規事業開発
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URL: https://caqnal.jp/





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