事業成長を支える人材獲得の課題と取り組み:16名の専門家が提言
人材獲得競争が激化する現代において、企業の人材マネジメントは重要な経営課題となっています。株式会社日本人材ニュース社は、人事専門誌「日本人材ニュース」において、事業成長のための人材獲得に向けた企業の課題と取り組みについて、人材マネジメントを支援する16名の専門家のコメントを発表しました。
専門家が語る人材獲得の現状と対策
各分野の専門家からは、採用戦略、福利厚生、AI活用、組織文化の構築など、多岐にわたる視点での提言が寄せられています。
1. 事業課題と候補者への期待を魅力的に伝える

ジェイ エイ シー リクルートメントの山田 広記常務取締役は、ミドルクラス以上の採用において、事業戦略に基づく相談が増えていると指摘しています。採用成功の鍵は、事業課題と候補者への期待を率直かつ魅力的に伝えられるかにあるとのことです。また、ミスマッチを防ぐためには、専門分野に詳しいエージェントへの相談が有効であると述べています。
2. AIで削減した時間を求職者との関係深化に活用する

ROXXの代表取締役社長である中嶋 汰朗氏は、若年層の「タイパ思考」が強く、選考が長引くほど辞退が増加する傾向にあると述べています。AIが書類選考を代替する中で、AIで削減できた時間を求職者一人ひとりと向き合い、関係を深めるために充てることが採用力向上につながると提言しています。
3. 賃上げだけではない魅力ある住宅福利厚生の検討

リロケーション・ジャパンの髙橋 孝一取締役は、賃上げだけでは差別化が難しく、魅力ある福利厚生が求められていると強調しています。特に家賃高騰の状況下で、所得とならずに実質的な家賃割引が可能な借上社宅制度への相談が増加しており、住宅支援の必要性が高まっていると述べています。
4. 第二新卒を「ポテンシャル層」として捉える

学情の歌津 智義執行役員は、新卒採用の早期化・長期化が進む中で、第二新卒採用が有効な選択肢であると述べています。第二新卒を「キャリア採用」ではなく「ポテンシャル層」と捉え、カジュアル面談などを通じて自社のカルチャーや仕事の魅力を丁寧に伝えることが定着への第一歩となると提言しています。
5. 社内外の労働市場を可視化し、最適な人材をタイムリーに登用する

ビズリーチの小出 毅執行役員は、採用はゴールではなく、入社後の定着・活躍まで見据える必要があると述べています。採用から入社後までの情報を一元管理し、データに基づく対策を講じることで、採用戦略の最適化が可能になるとのことです。また、社内外の労働市場を可視化し、最適な人材をタイムリーに登用することが競争力のある組織作りに不可欠であると指摘しています。
6. AIを「データと判断」の高度化に活用する

HRBrainの白井 崇顕取締役副社長は、生成AIの普及により人事部門の役割が変化していると述べています。採用成功企業はAIを作業の自動化だけでなく、「データと判断」の高度化に活用し、入社後の定着・活躍データから必要な人材要件を定義し、見極め精度を高めていると分析しています。
7. 転職潜在層へ戦略的にアプローチし、関係構築を進める

Sansanの橋本 剛Eight事業部 Eight Career Design部部長は、即戦力・専門人材の採用ニーズが高まる中で、転職顕在層だけでなく「良い機会があれば転職を検討したい」と考える転職潜在層へのアプローチが重要であると提言しています。この層との関係構築を戦略的に進めることが、採用競争激化を打開する鍵となるでしょう。
8. デジタル発信と「温度感のあるストーリーや本音」を届ける

揚羽の昆野 玲ブランドマーケティング部次長は、AI時代における採用において「採用ブランディング」が重要であると述べています。AIに届きやすいように強みを整理してデジタルで発信しつつ、求職者の心を開く「温度感のあるストーリーや本音」を届ける情報設計が採用成功の鍵となるとのことです。
9. 正社員採用に頼らず、柔軟な人材活用を組み合わせる

アクシスコンサルティングの橋爪 智也法人営業本部本部長は、人材獲得の最大の課題は、優秀な人材から選ばれる理由を十分に示せていないことにあると指摘しています。採用に成功している企業は、経営課題や期待役割を明確に言語化し、正社員採用だけでなくフリーランスや副業人材も組み合わせることで、変化の速い事業環境への対応力を高めていると述べています。
10. 従業員のニーズと使いやすさに即した福利厚生制度の設計

miiveの栗田 廉代表取締役CEOは、福利厚生が人材獲得競争における企業の競争優位を左右する経営基盤として進化していると述べています。従業員のニーズと使いやすさに即した制度設計が重要であり、福利厚生は企業文化や価値観を採用市場に可視化する手段であると強調しています。
11. 多様な人材と最適な仕事や役割を結び付ける「人材循環力」

ツナググループ・ホールディングスの加藤 寛康執行役員は、新規採用強化だけでなく、在籍社員や退職者(アルムナイ)、副業人材など多様な人材と継続的につながり、最適な仕事や役割と結び付ける「人材循環力」の向上が求められていると述べています。DXによる多様な人材データの統合管理がその実現に不可欠であるとのことです。
12. アルムナイ(現役世代の退職者)を企業の貴重な資産と捉え直す

ハッカズークの實重 遊執行役員は、退職を「縁の切れ目」と捉える従来の価値観から脱却し、アルムナイを企業の貴重な資産と捉え直す発想転換が重要であると提言しています。アルムナイとの関係継続は、ミスマッチの少ない即戦力人材の再採用や、業務委託・副業での活用につながるとのことです。
13. 経験や思いを重ね合い、ともに働く意味を実感できる職場をつくる

ジェイフィールの高橋 克徳代表取締役は、賃上げや制度整備だけでは人が定着しない現状に対し、「静かに分断する職場」の問題を指摘しています。多様な価値観の背景にある経験や思いを重ね合い、ともに働く意味を実感できる職場、すなわちコミュニティシップを組織に作り出すことが重要であると述べています。
14. 経営が採用を最優先テーマとし、人事と現場が一体となって動く

レジェンダ・コーポレーションの樋口 新最高執行役員社長は、採用が事業成長を左右する時代において、経営が採用を最優先テーマとし、人事と現場が一体となって動くことが不可欠であると述べています。RPOやAIエージェントなどの外部リソースや先端知識を取り入れ、自社の力を積み上げることが持続的な人材獲得力向上につながると提言しています。
15. ダイレクトリクルーティング成功の鍵は”魅力付けの設計”

VOLLECTの森本 明伸代表取締役は、ダイレクトリクルーティングの導入が進む中で、形だけのカジュアル面談では成功しないと指摘しています。成功の鍵は「魅力付けの設計」にあり、カジュアル面談から入社まで、人事自身が何を伝え、どう口説き、どうフォローするかを設計し切れるかが重要であると述べています。
16. 定着を見据えた組織づくりと採用要件の柔軟な見直し

スタメンの古谷 敦史グロース戦略本部事業開発部組織人事コンサルタントは、ノンデスクワーク領域での採用課題に対し、求める人物像の再定義や外国人採用を視野に入れた受け入れ体制構築など、要件の柔軟な見直しが重要であると述べています。さらに、入社後の定着を見据え、理念浸透や称賛し合う仕組みを組織の習慣として溶け込ませる「働きがいのある組織づくり」を一体で進めることが、人材獲得成功の重要な一歩であると提言しています。
まとめ
これらの専門家のコメントは、労働人口減少やAIの進化など、変化の激しい現代において、企業が事業成長のために人材を確保し、定着させるためには、従来の採用手法に固執せず、多角的な視点と戦略的なアプローチが必要であることを示しています。
専門家のコメントや「人材獲得策の最新事情」の特集記事などを掲載している「日本人材ニュース」Vol.341の電子版は、以下のリンクから閲覧できます。





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