「フォロワーシップに関する定量調査」から見えた組織成果と部下の行動、上司評価のギャップ
株式会社パーソル総合研究所は、全国の職場で働くメンバー層を対象とした「フォロワーシップに関する定量調査」の結果を発表しました。近年、マネジメントの負荷が増大する中で、組織のパフォーマンス向上にはリーダーだけでなく、部下(フォロワー)の関与と行動が重要であると指摘されています。
調査の概要と目的
本調査は、現代の職場でメンバー層に求められる有効なフォロワーシップ行動を明らかにし、それを引き出すための実践的なヒントを得ることを目的として実施されました。調査対象は全国の正規雇用就業者3,200名(非役職者2,500名、役職者700名)で、2025年11月12日から15日にかけてインターネット定量調査として行われました。
フォロワーシップの実態
調査では、部下のフォロワーシップ行動について、積極的な側面と消極的な側面の両方が確認されました。
積極的行動と消極的行動
「指示がなくても必要な行動を自ら見つけて実行する」「感謝や労いの言葉をかける」といった積極的なフォロワーシップ行動は3割超で見られる一方で、「できるだけ労力をかけずに仕事を終わらせたい」「最終判断は上司の責任と考える」といった消極的な行動も5割超で確認されています。

部下のフォロワーシップ行動は5タイプに分類
フォロワーシップ行動の分析に基づき、部下は「職人」「気づかい」「まとめ役」「自己成長」「批判者」の5タイプに分類されました。それぞれのタイプには得意な行動と苦手な行動があり、万能なタイプは存在しないことが明らかになっています。

組織の成果につながるフォロワーシップ行動
フォロワーシップ行動の中でも、組織のパフォーマンスにプラスの影響が見られたのは、「場づくり」「本音発言」「学び共有」「寄り添い」「踏み出し」の5つの行動でした。

しかし、「学び共有」や「本音発言」といった組織成果との関連が高い行動は、職場での実施度合いが低いという実態も明らかになっています。

上司評価・マネジメントとのズレ
上司層の71.7%が職場に「信頼できる優秀な部下」がいると回答しており、平均2.88人の部下を信頼していることが分かりました。信頼できる部下の年代は30~40代が多い傾向です。
上司が重視する行動と、組織に効く行動にはズレがあることも判明しました。上司は「先回り行動」や冷静な判断を重視する傾向がありますが、「学び共有」や「本音発言」は組織に良い影響を与えるにもかかわらず、上司からは評価されにくい「盲点」が存在することが示唆されています。

フォロワーシップを育てる条件
①「ヨコの感情交流×タテの対話」の両立
フォロワーシップ行動を高める組織の要素として、同僚間の感謝や笑いといった「ヨコの感情交流」と、上司への意見の言いやすさといった「タテの対話」の両立が重要であることが示されました。

この2つの要素がともに高い組織は、フォロワーシップ行動全体および組織パフォーマンスが圧倒的に高い結果となっています。

②「役割の自律性×組織的な余白」の両立
個人の役割の自律性が高いほど、そして組織からの指示に現場で埋められる余白(組織的な余白)があるほど、フォロワーシップ行動全体にプラスの影響が見られました。

日本的雇用の「無限定性」がフォロワーシップを縮小
「労働時間の無限定性」「会社都合の異動の多さ」「職務範囲の無限定性」といった日本的な雇用習慣が、フォロワーシップ行動を縮小させていることが示唆されました。

調査結果からの提言
この調査結果は、組織のパフォーマンスを左右するのは一部の優秀な人材だけでなく、多様な「普通の部下たち」による具体的な行動の積み重ねであることを示しています。フォロワーシップ行動を「余裕があればやること」ではなく、コミュニケーションと役割設計の面から意図的に醸成していくことが重要です。
特に、日本的な雇用慣行に見られる「時間・仕事・異動」の無限定性が、かえって部下の役割認識を曖昧にし、フォロワーシップを縮小させているという点は、企業にとって重要な気づきとなるでしょう。
フォロワーシップが育つ職場の特徴は以下の通りです。

フォロワーシップを育てるための具体的な人材マネジメント策も提言されています。

管理職に過度に依存する発想から転換し、メンバー層の行動をいかに引き出し、全員で組織を強くしていけるかが、今後の人材マネジメントを考える上での鍵となると考えられます。
調査結果の詳細については、以下のURLをご覧ください。
調査概要
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調査名称: パーソル総合研究所 「フォロワーシップに関する定量調査」
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調査内容: 一般メンバー層(部下層)のフォロワーシップの実態と効果的な行動、およびフォロワーシップ行動を引き出すための人材マネジメントについての示唆を得る。
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調査対象: 全国の正規雇用就業者 計3,200名(第一次産業と公務員を除く)
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非役職者: 2,500人(男女比率は賃金構造基本統計調査の正規雇用・非役職分布に準ずる)
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役職者(係長以上): 700人
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調査方法: 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
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調査時期: 2025年11月12日 – 11月15日
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実施主体: 株式会社パーソル総合研究所





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