評価制度の機能不全と離職への影響
調査対象企業の約50%が「評価制度が機能していない」または「評価制度がない」と回答しています。具体的には、「あまり機能していない」が30.7%、「機能していない」が9.1%、「評価制度がない」が10.0%となり、約4割の企業が制度の機能不全を認識していることが明らかになりました。
また、評価制度への不満が離職に影響していると感じる企業は51.9%に上ります。特に、評価制度が「機能していない」と回答した企業では、62.6%が離職への影響を認識しており、評価制度の不備が従業員の離職に直結する可能性が示唆されています。
中小企業の賃上げと労働時間管理の実態
令和8年の賃上げ予定については、3%以上の賃上げを予定している企業が55.9%である一方、3%未満の企業も44.1%に達しています。物価上昇への対応と収益圧迫の間で、中小企業が難しい判断を迫られている実態がうかがえます。業種別では、医療・介護、小売・サービス、建設といった人手不足業界で賃上げ圧力が高い傾向が見られました。
労働時間の把握方法については、勤怠管理システムを導入している企業は36.4%にとどまり、Excel管理(26.8%)、出勤簿(22.1%)、自己申告(11.3%)といった客観性に欠ける方法で管理している企業が合計60.2%に上ることが判明しました。勤怠管理の客観性が低いほど、未払い残業リスクの認識が高まるという相関関係も確認されています。
退職代行サービスに関しては、61.5%の企業が「特に気にしていない」と回答しており、企業側が退職代行への対応に慣れてきている可能性も示唆されています。
調査から見えた日本企業の構造問題
今回の調査では、以下の問題が相互に関連する人的資本経営の構造問題である可能性が指摘されています。
-
評価制度の機能不全
-
賃上げと収益のジレンマ
-
労働時間管理のリスク
-
人事データ活用の遅れ
特定社会保険労務士の川口正倫氏は、「多くの企業が賃上げを検討していますが、評価制度が機能していない場合、賃上げだけでは離職は防げません。人的資本経営の本質は、給与水準ではなく公平な評価・適切な労働管理・人事データの活用にあります。今回の調査は、中小企業の人事制度が抱える構造的な課題を示していると考えています」とコメントしています。
調査概要
-
調査名: 2026年(第1回)人的資本・労務リスク調査
-
調査対象: 従業員30名以上100名未満の企業
-
調査方法: アンケート調査(主催者のクライアントおよび調査会社利用)
-
調査期間: 2026年2月~3月
-
主催: 飯田橋・神楽坂社会保険労務士法人
白書の全文は、以下のリンクからダウンロードできます。
2026年(第1回)人的資本・労務リスク調査白書
本件に関するお問い合わせは、飯田橋・神楽坂社会保険労務士法人までお願いいたします。
飯田橋・神楽坂社会保険労務士法人





コメント