日本が抱えるジェンダー課題と「女性活躍」の経営戦略化
世界的に「ウェルビーイング経営」が注目される中、日本はジェンダー課題を依然として抱えています。世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数において、日本は先進国の中で低位に位置しており、特に女性の経済参画と意思決定層への登用が大きな課題とされています。
芳子ビューエル氏は、「女性活躍は“支援策”ではなく、企業の競争力を左右する経営戦略です。ライフイベントを例外扱いする限り、日本の生産性も幸福度も上がりません」と指摘しています。
北欧が実証する“持続可能な働き方”
世界幸福度ランキングで常に上位を占めるデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドといった北欧諸国には、共通する働き方の価値観や制度設計が見られます。
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仕事は人生の「一部」であるという価値観
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時間内労働を前提とした評価制度
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管理職を含む柔軟な勤務体制
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育児・介護との両立を前提にした制度設計
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心理的安全性の高い対話文化
北欧型ウェルビーイングの本質は、「楽をすること」ではなく、「持続可能な働き方を社会設計すること」にあるとされています。
日本企業に必要な「キャリアを中断させない設計」
日本では、管理職登用時期と出産・育児期が重なる構造があり、多くの女性がキャリア継続を断念するケースが見られます。芳子ビューエル氏は、「どのようなライフイベントがあっても、本人が望む限りキャリアを止めない。それを制度として設計することが、これからの経営の基本」と考えています。これは女性支援にとどまらず、人的資本を最大化する経営戦略であると強調されています。
芳子ビューエル氏が代表を務めてきた会社では、産後復帰率100%を実現していると報告されています。これは、自身の子育て経験から「社会全体で、女性の仕事と育児の両立を応援する必要がある」と感じ、環境を整えた結果です。新入社員の中には当初「子供が出来たらやめたい」と考える人もいたそうですが、制度の整備や先輩社員の姿を見て考えを改め、全員が産後に復帰しているといいます。
中小企業でも実現可能な具体策(アルトスターの実践)
アルトスターでは10年以上前から、北欧の考え方を日本の中小企業環境に取り入れた具体的な施策を実践しています。
- 有給休暇の「1時間単位」取得制度
授業参観や通院、家族の急病などにも柔軟に対応でき、「休むことへの罪悪感」を軽減し、生産性向上につなげています。 - 新幹線通勤・リモートワークの承認
転居や家庭事情があってもキャリアの継続を可能にし、“働く場所の自由”が自己決定感を高めています。 - 育休中の希望者への情報共有
業務メールをCCで共有し、社会との接点を維持しています。「完全に切り離さない設計」により復職率100%を実現しています。
制度よりも重要な「意識の転換」
日本社会が真にウェルビーイングを高めるために必要とされるのは、以下の点です。
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成果を「時間」ではなく「価値」で評価すること(長時間労働=美徳という前提の見直し)
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対話による心理的安全性の確立
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自分の働き方は自分で決めるという意識
ウェルビーイングとは、福利厚生の充実だけではなく、「自分で選び取れる感覚」の積み重ねであるとされています。企業がその選択肢を用意したとき、個人の幸福と組織の成長は両立するでしょう。
国際女性デーが問いかけるもの
男女雇用機会均等法成立から40年を迎えた今、日本企業が問われているのは、「女性を活躍させるか」ではなく、「ライフイベントを前提に経営を再設計できるか」という視点です。
3月8日の国際女性デーは、単なる記念日ではなく、経営のあり方を再定義する機会となります。仕事に人生を合わせるのではなく、人生に合わせて仕事を設計する社会へ。その転換こそが、日本における真のウェルビーイング向上への第一歩となるでしょう。
株式会社アルトスター 会社概要
所在地 : 群馬県高崎市筑縄町62-1
事業内容: 新素材の輸入、企画販売、商品開発支援、輸入総代理店業務等
URL : https://alto-star.com/about/
代表者 芳子ビューエル プロフィール
株式会社アルトスター代表取締役、株式会社アイデン代表取締役、株式会社アペックス創業者。
1998年にJETROから派遣されて以来北欧とゆかりが深く、デンマークのライフスタイル『ヒュッゲ』をいち早く日本に紹介しました。テレビや雑誌でも、ヒュッゲの第一人者として日本での取り入れ方を紹介するほか、世界幸福度ランキングにまつわる『幸せ』についての各種講演なども行っています。
著書に『世界一幸せな国、北欧デンマークのシンプルで豊かな暮らし』(大和書房)、『北欧流 幸せになるためのウェルビーイング』(キラジェンヌ)などがあります。
公式ブログ: https://yoshiko-buell.com/





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