経営の楽観と働き手の不信
日本企業の100%が今年の成長に自信を持っている一方で、同様の楽観的な見通しを持つ日本の働き手はわずか21%に留まり、世界平均の半分以下という状況です。AI(人工知能)に関しても、生産性向上に役立つと考える日本の企業は63%と高い期待を寄せていますが、最新テクノロジーを使いこなせる自信がある日本の働き手は41%に留まっています。また、AIが業務の大部分に影響を与えると予測する企業が58%であるのに対し、働き手は36%と、日本の働き手はAIの影響を過小評価する傾向が見られます。
このような日本企業の「楽観」は、働き手の不安や「静かな離職」を見逃すリスクを孕んでいます。日本の働き手は現職に留まる理由として「ワークライフバランス」を重視する傾向があり、優秀な人材を維持するためにはバランスを最優先することが本レポートで提唱されています。企業は自社のAI戦略を周知し、スキルギャップを埋める支援を行うことが求められています。
希薄な上司との関係と世代間コラボレーションの鍵
日本の働き手のうち、直属のマネージャーと強い関係を築いていると回答したのは42%で、世界平均を30ポイント下回っています。また、自社の経営層を信頼している割合も54%と低く、職場における心理的安全性や安定の鍵を握るリーダー層との信頼構築が急務となっています。
働き手の62%が他者の意見を取り入れると生産性が向上すると考えており、企業の98%が世代の多様性が生産性向上の手段であると回答しています。本レポートでは、ベテランの経験値と若手のデジタル感覚を融合するなど「5世代」でのコラボレーションに継続的に注力することが、不確実な時代への処方箋として提案されています。
キャリア観の変化:直線型から自律型へ
世界では、リスクを分散させながら自らのキャリアを多角的に進化させる「ポートフォリオ・キャリア」への積極的なシフトが見られます。日本ではその関心はまだ22%ですが、多様な経験を重ねて「雇われ続ける力(エンプロイアビリティ)」を高める将来のキャリア形成の形として注目されています。
一方、「一つの会社で昇進を繰り返す直線的なキャリア」を希望する日本の働き手はわずか18%で、企業側も63%が直線的キャリアは時代遅れだと認識しています。

日本の働き手は、私生活との不一致を理由に離職した割合が22%、柔軟性の欠如による離職が25%と、世界と比べれば転職や退職に慎重ではあるものの、自分自身の進むべき道を自ら描き、自分にとって大切な価値観を諦めたくないと考えています。本レポートでは、従業員の自律性を認め、企業が働き手を信頼していることを示すことで、社員の帰属意識を呼び起こすことを提唱しています。
業界別に見る働く意識
レポートでは、物流、エンジニアリング、ファイナンスの業界別の働く意識も分析されています。
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物流: AIスキルや柔軟性よりも給与の改善や明確な役割を好む傾向があり、労働者ファーストの戦略が求められます。
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エンジニアリング: AI導入と信頼の高いリーダーシップ、成長をサポートする柔軟性を重視しています。
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ファイナンス: 変化を受け入れる覚悟と不安が交錯しており、リーダーの役割が重要とされています。
レポートの詳細とダウンロード
「ランスタッド・ワークモニター2026(日本語版)」の調査は、2025年10月9日から30日にかけて、世界35か国の労働者27,000名以上と企業1225社を対象にオンラインインタビュー形式で実施されました。
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