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東洋大学とアスマーク、1万人規模の調査データを用いた実践型PBL教育の最終報告会を実施しました

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東洋大学とアスマーク、1万人規模の調査データを用いた実践型PBL教育の最終報告会をレポート

東洋大学経営学部西村孝史教授のゼミと株式会社アスマークは、2025年9月より1万人規模の実証データを活用したPBL(Project-Based Learning)教育プロジェクトを支援しました。このプロジェクトは2026年1月30日に成果報告会をもって完了し、実証データに基づく人事課題の解決と、教育とビジネスのミスマッチ解消に貢献しています。

このプロジェクトにおける教育現場への支援は、データに基づいた客観的な人事管理の普及と、実学に寄与する産学連携の発展に貢献することが期待されています。

成果報告会の概要

成果報告会は2026年1月30日に東洋大学にて開催され、経営学部西村ゼミの学生(主に2年生)が発表を行いました。株式会社アスマークが協力しています。

プログラム構成は以下の通りです。

  • 西村ゼミの概要

  • 分析発表①:非管理職キャリア戦略チーム

  • 分析発表②:職場環境改善チーム

  • 分析発表③:人材定着戦略チーム

  • 質疑応答・フィードバック

東洋大学

学生発表内容の概要

非管理職キャリア戦略チーム

このチームは、管理職志向はないものの離職意思が低い人材層を分析し、その特徴を明らかにしました。

  • 仮説の起点: 近年の管理職の負担増やポスト減少という社会的背景、および先行研究から、昇進を望まない一方で職場定着を希望する人材の心理的背景を解明することを起点としています。

  • 主な分析: 将来の管理職意欲と職場定着意向を組み合わせたクロス集計によるターゲット抽出、説明変数を合成するための因子分析、属性をコントロール変数とした重回帰分析を実施しました。

  • 主な提言: 管理職の仕事内容への不安を解消するため、「お試し期間」の導入や昇進前後のマネジメント研修・OJTの充実を提案しています。また、管理職の母数を増やして負担を分散させる構造改革や、専門的な相談センターの設置により、心理的ハードルを下げる重要性を指摘しています。

職場環境改善チーム

職場におけるハラスメントが転職・退職の意思決定に与える影響について明らかにしました。

  • 仮説の起点: メンバー自身のアルバイト経験から、ハラスメントを受けた際の行動が人によって異なる疑問と、ハラスメントがメンタル悪化や職場全体の士気低下を招く先行研究を組み合わせて仮説を構築しました。

  • 主な分析: 相関分析により企業規模が小さいほどハラスメントが起きやすい傾向を確認しました。全10,000件のデータとハラスメント疑いのある1,772件を比較し、営業職・製造業など発生率が有意に高い属性を抽出しています。重回帰分析により、ハラスメントが「転職意思」には中程度の相関を示す一方で、「退職意思」への影響は限定的であることを算出しました。

  • 主な提言: ハラスメントは表面的な離職率には現れにくい「転職による人材流出」を引き起こすため、企業は問題を直視する必要があると提言しています。具体的な施策として、テレワーク等の「自由な働き方」と、役割や目標達成度に基づく「成果への公正な評価」を組み合わせた制度の導入を提案し、ハラスメント対策と評価制度を一体として設計し、心理的安全性を確保するマネジメントの重要性を強調しました。

学生発表風景

人材定着戦略チーム

残業とモチベーションが退職意向に与える影響について明らかにしました。

  • 仮説の起点: 「やる気のある人ほど仕事を辞めてしまうことが多いのではないか」という疑問と、離職意思と人事評価の間に見られる非線形関係を示した先行研究を起点としています。

  • 主な分析: 重回帰分析を用い、モチベーションと退職意欲の関係を検証するため二乗項を投入したモデルを作成しました。月の残業時間別のグループで退職意欲およびモチベーションの平均値の差を検定し、管理職と非管理職でデータを分けて残業時間が各意欲に与える影響を個別に算出する層化分析を実施しました。

  • 主な提言: 残業が従業員にもたらす「没頭・やりがい」という正の側面と、「疲弊・負荷」という負の側面の両面を認識し、労働時間を適切に制御することが求められます。36協定の原則上限である月45時間を遵守することが、持続的な労働と退職意欲の抑制において重要な境界点となると提言しています。また、管理職(月60時間)と非管理職(月45時間)で許容範囲が異なることを考慮した、組織的な時間管理体制を構築することが、優秀な人材の流出を防ぐ鍵となると考えられます。

プレゼンテーション画面

参加した学生の振り返り(一部抜粋)

学生たちは、発表に向けてチーム内で特に重視して話し合った点として「仮説が立証されなかった後の行動」を挙げています。軌道修正案やその後のテーマについて自ら調べ、求めている結果が得られる研究方法を話し合ったそうです。

分析や発表の過程で工夫した点としては、複数の因果関係を一つの研究にするため、因果関係同士に繋がりを持たせられるように設計や使用データを工夫したことを述べています。また、「内容を確実に伝えるための反復」と「印象を強めるための簡潔さ」のどちらを選ぶべきかについて悩んだという声もありました。

今回の取り組み全体を通して学んだ点として、「広い視点を持つことの大切さ」が挙げられています。仮説がすべて支持されることはなく、たとえ違ったとしても、そこからより深い分析につなげたり、より良いものを作るためには、思考を柔らかくして新しい視点を出すことが大切だと理解しました。初めて膨大なデータを扱って分析を行ったため、研究テーマによって研究を進めることの難しさや、どの変数を使うか・分析方法によって答えが変わっていくことの面白さを知ることができたと振り返っています。特に、個人では集めることができない量のデータをいただけたことで、分析を深められ、仮説が棄却された時に新しい意見を出し、実際に分析できたことがとても印象深く、楽しかったと語っています。

発表中の学生

成果発表会を終えて~西村 孝史 先生(経営学部 教授)へのインタビュー~

成果発表会後、東洋大学経営学部教授の西村孝史先生にインタビューが行われました。

西村孝史先生

西村 孝史 先生 プロフィール

東洋大学 経営学部 教授

株式会社日立製作所にて人事業務に従事後、2005年に同社を退職し大学院に進学。2008年一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(商学、一橋大学)。徳島大学、東京理科大学、東京都立大学勤務を経て2025年より現大学に勤務。2021年4月から2022年3月の間、Henley Business School, University of Readingにvisiting scholarとして滞在。

研究分野は人的資源管理論で、主な著書に『職場のソーシャル・キャピタル: 人的資源管理が創り出す個と組織の関係性』(中央経済社,2024年)などがあります。2025年には第24回日本労務学会学術賞、第4回日本社会関係学会賞 最優秀賞を受賞されています。

Q. 先生が現在取り組まれているテーマや重点分野を、簡単にご紹介ください。

いくつかのテーマに取り組んでいます。1つは、人事施策が組織力およびウェルビーイングを高める仕組み、2つ目は、同じ組織なのに人事施策が有効に機能する人としない人との違い、3つ目は、人事異動を通じて人が成長する仕組み、などです。1つ目ではソーシャル・キャピタルという概念に着目し、2つ目ではHR帰属、3つ目ではジョブローテーションによる成長メカニズムの解明に取り組んでいます。

Q. 今回の講義は、学生にとってどのような意義があるとお考えでしょうか。学生が得られる学びや期待される効果についてお伺いします。

大きく2つの意図がありました。1つは、学生にXとYといった論理的な構造を持ってもらいたいということです。問題解決において、目先のHowではなく、「何が問題なのか」「なぜ起きているのか」といったWhatやWhyを問いに立てる癖を身につけて欲しいと期待していました。2つ目は、操作化です。特に今回は与えられたデータ(2次データ)ということで、学術研究の中でも難しい部類に入ります。質問項目から何の概念に該当するのかを類推して抽象化を考える必要があり、具体と抽象の往復運動がとても鍛えられます。この経験は、ビジネススクールで行うビジネスケースの討議とほぼ同じで、経営学部の学生にとっては非常に有意義な分析ツールあるいは分析教材になると考えられます。

Q. 特に印象に残ったことや、企画の進め方など、率直なご感想をお聞かせください。

2025年4月に東洋大学に赴任したため、ゼミ生がほとんどいない状況で、本来3年生が行うべきレベルの内容を敢えて2年生にお願いしました。正直なところ学生には大変だったと思いますが、その分、成長としての吸収度合いも大きかったと思います。また、分析はまだ荒いレベルで改善の余地があることは承知しているとのことです。

他方で、印象に残ったことは、普段のゼミでは見出しづらい個々のゼミ生の意外な特徴を知ることができた点です。例えば、チーム内で統計が一番得意であった学生やパソコン操作が得意な学生など、日頃発言が少なくスポットを浴びることが少なかったゼミ生も注目を浴びるようになり、本プロジェクトがコミュニケーション円滑化の潤滑油の役割を果たしたことが挙げられました。

Q. 今後の研究や教育現場において、当社のような調査会社がどのように貢献できるとお考えでしょうか。

卒業論文のデータとして調査データを公開することや、PBLとして統計のリテラシーを伝える寄附講座の開講が、認知度向上と社会貢献を同時に行う方法として一般的だと考えられます。また、多くの学生が卒業論文でのデータ集めに苦労している現状を踏まえ、サンプリングバイアスをクリアするために、寄附講座型のPBL参加者の中でも成績最上位層や、特定のモニター回答者に対して、卒業論文に限った調査データを無料で提供するスキームも考えられます。これにより、インターネット調査を利用する際に貴社を調査会社の候補として想起する人が増え、学生の金銭的なインセンティブとなり、卒業論文のクオリティも向上することが予想されます。

さらに、「未来の人事発掘プロジェクト」という企画も構想されています。これは今回のプロジェクトの拡大版とも言えるもので、複数大学および複数社で同様のプロジェクトを実施し、データ提供企業が半年程度伴走しながら自社の問題解決に取り組みます。最終報告は全ての参加企業・大学が一堂に会して行い、そこで優れたプレゼンテーションや分析能力を発揮した学生がいれば、他大学の学生であっても積極的に声掛けをOKとする枠組みを予定しているとのことです。

関係者プロフィール

里村 雅幸氏

里村 雅幸
株式会社アスマーク リサーチャー
弘前大学大学院人文社会科学研究科社会心理学専攻修士。大手チェーンストアで売場を5年経験後、2011年中途入社。アンケート画面作成・データチェック・集計を担当後、現在は定量調査の企画・設計から分析・報告書作成までを主に担当されています。

塚田 智子氏

塚田 智子
株式会社アスマーク リサーチャー
大学卒業後、大手製造業で開発・品質管理業務に従事。産業カウンセラー資格を保有。現在は株式会社アスマークにて、コンプライアンス・ハラスメント分野を専門とするリサーチャーとして勤務されています。

岩﨑 真吾氏

岩﨑 真吾
株式会社アスマーク Humap事業部
早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒。2024年12月よりHRサービス「Humap」の専任営業担当を務めています。

アスマークの従業員総活躍サービス「Humap(ヒューマップ)」

Humapロゴ

Humap(ヒューマップ)は、マーケティングリサーチ事業で培われたリサーチ技術・分析力を活かし、組織課題の可視化と解決をサポートするHRテックサービスです。「あなたの組織の従業員総活躍をサポートしたい」を理念に、企業の働きやすい環境づくりに貢献しています。

Humapサービスサイト

Humapの主なHRテックサービスには、以下のものがあります。

  • 在席管理・フリーアドレス管理ツール「せきなび」

  • 従業員満足度調査(ES調査)「ASQ」

  • ハラスメント&コンプラ対策「CHeck」

  • オンラインサンクスカード「Smileボーナス」

サービスに関するお問い合わせ先:

株式会社アスマーク 会社概要

株式会社アスマークは、業界最大規模のモニター基盤を活かしたマーケティングリサーチ事業を基幹ビジネスとして展開しています。20年以上にわたるリサーチ技術と分析ノウハウを応用し、HR Tech事業「Humap」では組織課題の解決を支援しています。

  • 会社名:株式会社アスマーク(東証スタンダード 証券コード:4197)

  • 代表者:代表取締役 町田 正一

  • 設立:2001年12月

  • 本社:東京都渋谷区東1-32-12 渋谷プロパティータワー4F

  • 事業内容:

    • (1)マーケティング・リサーチ事業(ネットリサーチ、グループインタビュー等)

    • (2)HR Techサービス(Humap)

    • (3)労働者派遣事業(許可番号:派13-311841)

  • 会社ホームページ:https://www.asmarq.co.jp/

  • お役立ち資料:https://humap.asmarq.co.jp/whitepaper/

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