法定雇用率の達成状況と地方の採用課題
調査では、法定雇用率について「すでに達成している」と回答した企業は37.0%にとどまり、「達成に向けて取り組んでいるが達成していない」が51.3%、「達成に向けた取り組みをしておらず達成していない」が11.7%という結果でした。半数以上の企業が採用意欲を持ちながらも、達成には至っていない現状が浮き彫りになっています。

特に地方企業では、障害者採用の難易度が高いと感じる企業が約9割に上ります。その主な理由としては、「公共交通機関が不便で、通勤できる人材が限られる」(49.2%)、「求職者の母集団そのものが少ない」(46.7%)、「都市部の企業が『完全在宅』で地方人材を採用しており、競合して勝てない」(28.0%)といった点が挙げられています。通勤環境の制約や母集団の少なさに加え、テレワークの普及による都市部企業との競合が、地方での採用を一層困難にしていると考えられます。

職域拡大への意向とマネジメントの課題
雇用実績のある障害種別としては、「身体障害」(52.5%)が最も多く、次いで「精神障害」(34.6%)、「発達障害」(32.2%)と続いています。人材選定の方針については、都市部・地方ともに「障害種別にはこだわらず、自社にマッチするスキル・適性を持つ人材を募集している」が最多回答となっています。

現在、障害者が担当している主な業務は「一般事務・アシスタント業務」(39.6%)や「定型業務・単純作業」(33.7%)が約7割を占めています。しかし、今後配属を増やしたい業務として、都市部では「企画・管理業務」が、地方では「専門・技術業務」が上位に挙がっており、職域拡大への期待が見られます。

一方で、専門業務やコア業務を任せる上での課題として、「現場社員(配属先)のマネジメント負担への懸念がある」(34.0%)、「該当するスキル・経験を持つ人材の採用が難しい」(33.7%)、「ミスが起きた際のリスク管理や、責任範囲の切り分けが難しい」(29.3%)といった点が挙げられています。採用だけでなく、配属後の受け入れ体制やマネジメントへの不安が職域拡大の障壁となっているようです。
法定雇用率引き上げへの準備状況
2026年7月の法定雇用率2.7%への引き上げについて、約8割の企業がその内容を把握しているものの、具体的な準備に着手できている企業はわずか3割にとどまっています。具体的な準備としては、「採用活動の強化」(42.3%)、「既存社員・受け入れ部署への説明会や研修の実施」(41.6%)、「採用目標人数の設定・見直し」(32.4%)が上位に挙がっており、単なる人数確保だけでなく、受け入れ側の理解促進も重視されていることがうかがえます。

今回の調査結果は、障害者雇用が「法定人数の確保」から「現場での定着と活躍」へと転換期を迎えていることを示しています。経営層と人事部門、現場部門が連携し、障害特性への理解を深めるとともに、個々のスキルを活かせる業務の再設計を進めることが、今後の障害者雇用成功の鍵となるでしょう。
障がい者総合研究所と関連サービスについて
今回の調査を実施した株式会社ゼネラルパートナーズは、障がい者の総合就職・転職サービス「atGP」を運営しており、調査・研究機関として「障がい者総合研究所」を運営しています。
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