世界の労働市場における4つの大きな変化
2025年版レポートでは、世界の労働市場において次の4つの大きな変化が明らかになりました。
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AIトレーニングが新たなグローバル職種として台頭
レポートによると、AIモデルの学習データ作成や評価を行う専門人材であるAIトレーナーという新しい職業が急速に拡大しています。この職種は2年前にはほとんど存在していませんでしたが、現在では600以上の組織で7万人以上がAIシステムのトレーニングに従事しています。2025年には、一般的なAIトレーナー職の越境採用が前年比283%増となり、Deelのプラットフォーム上で最も成長率の高い職種となりました。日本に拠点を置くAIトレーナーは全体の0.5%にとどまり、報酬中央値は時給16米ドルでした。このことから、AIトレーニング人材市場は日本ではまだ発展途上である可能性が示唆されています。主な調査結果として、報酬は大きく二極化しており、時給15~20米ドル(アノテーション作業)が30%、時給50~75米ドルが19%、時給100米ドル以上(専門知識が必要な業務)が6%を占めています。AIトレーナーの所在地は米国が58%と最も多く、次いでインド(7.2%)、フィリピン(4.6%)などが続きます。また、米国では男性AIトレーナーの中央値が時給50米ドル、女性は30米ドルと、男女賃金格差も存在し、これは専門分野の偏りが主な要因とされています。
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スタートアップはコスト削減ではなく専門人材確保のために海外採用を実施
2020年から2025年に創業し、1億米ドル以上の資金調達を行った約100社のスタートアップを分析した結果、越境採用は低コスト国ではなく、英国(12.2%)、カナダ(11.9%)、ドイツ(8.8%)といった高所得国を中心に行われていることが明らかになりました。職種別ではソフトウェア開発者が28%、テック営業が6.2%、ビジネス開発が4%、AIエンジニアが2%です。越境採用の上位10職種のうち7つが営業・マーケティング・顧客対応系職種であり、ローカル市場の知識は依然として自動化が難しいことが示されています。日本から採用される越境人材の採用は、米国、英国、シンガポールが上位となり、職種別ではソフトウェア開発者、営業マネージャー、事業開発担当が上位となりました。 -
リモートワーカーが都市部へ回帰
パンデミック時に大都市を離れたリモートワーカーは、徐々に都市部へと戻りつつあります。主要都市から国外居住従業員の居住地までの平均距離は、2022年以降、毎年短縮しています。米国では、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴなどの都市への距離が2021年当時の水準まで戻っています。同様の傾向はロンドンやパリでも見られます。 -
インフレの高い国では通貨ホッピングが拡大
インフレの高い国では、契約者が自国通貨ではなく米ドルやステーブルコインで報酬を受け取るケースが増えています。2025年、最も一般的な支払い通貨トップ10のうち5つがUSD関連となりました。アルゼンチンでは自国通貨よりUSDを選ぶ契約者が多数おり、ボリビアではインフレ率とUSD利用率が連動していることが示されています。また、アルゼンチン、韓国、トルコ、ベトナムなどではステーブルコインの利用が拡大しています。
その他の調査結果と日本市場への示唆
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越境採用の動向は、コストよりも言語や地理的な近接性に沿って形成される傾向が見られます。
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大企業はコンプライアンスやリスク管理分野の人材を採用する傾向があり、中小企業は事業成長を目的とした採用が中心となっています。
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AIトレーナーに加え、リーガル・ケースマネージャーや医療事務アシスタントなども越境採用で高い成長率を示しています。
今回の調査結果は、AI関連の新職種の拡大やグローバル人材競争の激化など、世界の労働市場が大きく変化していることを示しています。一方、日本ではAIトレーナー人材がまだ少なく、AI分野における人材の確保や育成が今後の重要なテーマとなる可能性があります。AIの活用が企業競争力を左右する中、日本企業にとっては国内での人材育成に加え、グローバルな人材プールを活用した柔軟な採用戦略も重要になると考えられます。
2025年版 State of Global Hiring Reportの全文は、下記よりご覧いただけます。
2025年版 State of Global Hiring Report
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