人事評価制度と経営計画の有無で賃上げ実施率に約2倍の格差
直近1年間で給与が上がったかという質問に対し、全体の56.8%が賃上げを経験していることが分かりました。

これを人事評価制度と経営計画の有無別に見ると、両方を運用している企業では73.0%が賃上げを経験しているのに対し、両方とも運用していない企業では38.0%に留まり、約2倍の格差が生じていることが明らかになりました。


9割以上の社員が「賃上げ率5%未満」、希望水準とのギャップ
実際に賃上げされた社員に対し、賃上げ率を聞いたところ、59.9%が「3%未満(1~2%程度)」、32.2%が「3%以上~5%未満(3~4%程度)」と回答し、9割以上が5%未満の賃上げに留まっています。

一方で、本来希望していた賃上げ率については、45.0%の社員が5%以上の賃上げを求めており、実際の賃上げと社員の希望との間に大きなギャップがあることがうかがえます。

賃上げへの不満は6割超、制度がない企業で納得感が薄まる傾向
現在の給与水準や直近の賃上げ結果に対する納得度では、全体の64.1%が「あまり納得していない」または「全く納得していない」と回答しました。特に人事評価制度と経営計画を運用していない企業では、この割合が72.0%に上昇し、制度やビジョンの不在が給与への納得感を薄めている傾向が見られます。

評価の適正感と不信感:評価基準のブラックボックス化が課題に
自分の仕事の成果やプロセスが適正に評価されていると感じるかという質問では、人事評価制度と経営計画を運用している企業では43.0%が「かなり感じる」または「少し感じる」と回答したのに対し、運用していない企業ではわずか24.0%に留まりました。

評価されていないと感じる理由として、人事評価制度がなく経営計画もない企業では「評価基準がブラックボックス化(不透明)しているから」が48.7%と高く、制度の不在が社員の強い不信感を生み出していることがうかがえます。

役割理解と社員育成の不足
会社が期待する役割や目標を理解しているかという質問では、人事評価制度と経営計画を運用している企業では76.0%が「理解している」と回答したのに対し、運用していない企業では38.0%に留まりました。制度や計画がない企業では、社員が会社の方向性や自身の役割を見失っている実態が明らかになっています。

また、社員の育成が十分にされていると感じるかという質問では、制度を運用している企業では41.0%が肯定的に回答したのに対し、運用していない企業では14.0%と大きなギャップが発生しています。育成がされていないと感じる主な理由としては、「会社として明確な教育・研修プログラムがないから」(54.1%)、「日々の業務が忙しく、育成や指導の時間が確保されていないから」(41.7%)などが挙げられました。


離職リスクの増大と定着率への影響
「これからも今の会社で働き続けたいか」という質問では、人事評価制度と経営計画を運用している企業では63.0%が肯定的に回答したのに対し、運用していない企業では41.0%に低下しており、制度の有無が社員のエンゲージメントに大きな差を与えています。

働き続けたいと思わない理由としては、全体の49.0%が「給与や待遇に不満があるから」と回答しました。特に人事評価制度と経営計画を運用していない企業では、この割合が61.0%に達し、給与への不満が離職の大きな引き金になっていることが明らかになりました。


調査結果の総括と専門家のコメント
今回の調査により、人事評価制度と経営計画を運用している中小企業では、賃上げの実施率や給与への納得度が高く、社員の役割理解やエンゲージメントにも良い影響を与えていることが明らかになりました。一方、両方を運用していない中小企業では、評価基準の不透明さに対する不信感が蔓延し、給与への不満が直接的な離職リスクにつながっている実態が浮き彫りになっています。
日本人事経営研究室株式会社 代表取締役の山元浩二氏は、この調査結果について以下のようにコメントしています。
「今回の調査で注目すべき点は、人事評価制度と経営計画の有無が『賃上げ実施率』に約2倍の差(両方ある企業73.0%に対し、両方ない企業は38.0%)をもたらしているという点です。また、制度や計画がない企業において、評価の『ブラックボックス化』に対する不信感が蔓延し、それが『給与や待遇への不満』へと直結して離職の最大の引き金になっている実態も見逃せません。これは、不透明な評価や見えない将来性が、社員のエンゲージメントを著しく低下させていることを示しています。今回の調査によって、人事評価制度と経営計画の連動が単なる『査定の道具』ではなく、社員の働きがいを創り出し、業績向上や賃上げの原資を生み出す『組織成長のエンジン』であることが実証されました。中小企業が今後、人材を確保し生き残るための分岐点は、この『仕組み』を持っているか否かにあると言えるでしょう。」
中小企業が人材の定着や育成を実現するためには、単なるベースアップに留まらず、経営計画と連動した透明性の高い人事評価制度を構築し、社員が納得して働ける仕組みを整えることが重要です。
中小企業の人材育成を支援する書籍
中小企業における「賃上げ率の低さ」や「人材・リーダー不足」、「生産性の低さ」といった課題解決のための一助となる書籍として、2025年5月20日に【改定新版】図解『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』が発売されました。

本書では、組織成長の原理原則に則った仕組みである「ビジョン実現型人事評価制度®」の考え方から導入、運用方法までを図解で分かりやすく紹介されています。経営計画と連動した人事評価制度の構築が、全社員がベクトルを合わせて自走する組織を作る上で不可欠であると提唱されています。
書籍情報
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書名:【改定新版】図解『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』
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著者:日本人事経営研究室株式会社 代表取締役 山元浩二
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発売日:2025年5月20日
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定価:1800円(税別)
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ISBN:978-4-86667-751-4
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発行所:あさ出版






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