調査概要
この調査は、中途採用に関わる企業の採用担当者・人事責任者1,017名を対象に、「企業の採用担当者がハイクラスに求めるAIスキルと市場価値」についてインターネットを通じて行われました。調査期間は2026年4月22日から23日です。
企業のAI活用状況
企業全体では、81.7%がAI活用を進めていることが分かりました。「非常に進んでいる」と回答した企業は26.4%、「ある程度進んでいる」と回答した企業は55.3%に上ります。

業種別に見ると、「メディカル・バイオ」業界が42.4%で最もAI活用が「非常に進んでいる」と回答しており、次いで「コンサルティング」が30.1%、「製造」が29.9%と続いています。メディカル・バイオ業界でのAI実装の先行は、創薬や医療データ解析など、AIが競争力に直結しやすい産業特性が背景にあると考えられます。

現場からのAI活用ニーズ
AI活用は、経営層主導だけでなく、現場レベルでも強く求められています。現場部門や社員から業務におけるAI活用に関する要望や声が「頻繁に上がる」が33.8%、「ときどき上がる」が54.4%となり、合わせて88.2%の企業で現場ニーズがあることが明らかになりました。

ハイクラスに求められるAIスキル
ハイクラス人材の採用において、89.3%の企業がAIスキルを重視しています。具体的に求められるスキルとしては、「AIツールの日常的な業務活用」(47.5%)が最も多く、次いで「AI活用領域の見極め・課題設定力」(38.1%)、「AIの基礎知識」(36.0%)が挙げられました。企業は単なるツール操作だけでなく、AIを事業成果に繋げる上流設計力を求めていることが分かります。

AIスキルが年収に与える影響
ハイクラスの転職において、AIスキルはオファー年収に大きく影響すると認識されています。「非常に影響する」と回答した企業は34.9%、「ある程度影響する」と回答した企業は54.6%に達し、合わせて89.5%の企業がAIスキルが年収に影響すると回答しました。AIスキルは採用評価だけでなく、提示される年収を左右する重要な指標として定着していると言えるでしょう。

AIスキルの水準と人材不足の実態
現在のハイクラスのAIスキル水準については、約6割(59.8%)の企業が「求める水準に達していない」と回答しています。この傾向は業種を問わず見られ、実務を牽引できるレベルの経験・スキルを持つ人材が、あらゆる業種で不足している実態が明らかになりました。

ハイクラスに期待される役割の変化
AIが普及するビジネス環境において、企業はハイクラスに対し、「新規事業・イノベーション創出」(40.6%)や「データに基づく意思決定」(34.0%)、「AIやテクノロジーの進化を前提に物事を考えられる思考力」(31.2%)といった資質を強く求めています。AIスキルを持つ人材を雇用するメリットとしても、「DX推進スピードの加速」(32.9%)や「高度なデータに基づく意思決定」(28.8%)などが上位に挙げられました。企業はAIを前提に「意思決定・DX推進・新規事業創出」をリードできる存在を求めているのです。

AI人材育成と組織連携へのシフト
深刻な人材不足に対し、企業側もアプローチを変えつつあります。AIスキルを持つハイクラスの採用・育成に関する今後の方針として、「AI研修・教育の強化」(39.7%)や「AI関連の資格取得・学習支援」(36.0%)、「社内AIプロジェクトの実践機会の創出」(30.7%)といった育成重視の姿勢が示されています。
また、採用したハイクラスにAIスキルが不足していた場合でも、「AIツール・仕組みによる業務補完」(40.2%)や「AIスキルがある社員との協業推進」(34.9%)、「OJT・メンターによる個別支援」(31.4%)といった対応が取られています。「完璧なAI人材の採用は難しい」という前提のもと、採用後の育成やチーム連携を前提とした戦略へとシフトしていると言えるでしょう。

まとめ
今回の調査結果は、AIスキルがハイクラス転職市場において不可欠な要素となり、年収にも大きく影響することを示しています。企業はAI活用を加速させる一方で、実務レベルのAIスキルを持つ人材の不足に直面しており、育成や組織連携を通じてこのギャップを埋めようとしています。
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