DAOマネ勉強会とは
地域おこし協力隊の仕事は、自治体ごとにミッションや環境が大きく異なり、「正解のない仕事」とも言われています。しかし、全国各地の現場には、数値では測れない実践的な知識や失敗から得られる教訓、人との関わり方など、再現性のある学びが数多く存在します。
株式会社あるやうむでは、協力隊員一人ひとりの経験を個人のものとして終わらせず、横断的な学びに変えることを目指し、この勉強会を実施しています。現場で成果を出している実践者自身が語ることで、これから着任する方や現在課題に直面している方にとって、現実に即した学びの場を提供しています。
今回のテーマ
東矢氏による今回のテーマは、「周囲をマネジメントする──存在感×不安感の2軸で相手の状態を知る」でした。協力隊の活動は、役場の職員、地域の事業者、他の協力隊員など、立場も価値観も異なる人々との協働で成り立っています。そのため、円滑なコミュニケーションは地域活性化に不可欠な技術であると言えるでしょう。
前回の「自分をマネジメントする」の内容を踏まえ、今回は「周囲=相手をマネジメントする」が主題となりました。相手の心の状態を2軸で読み取り、それに応じて関わり方を変える考え方と具体的な方法が、実例やディスカッションを交えて解説されました。
コミュニケーションは「ドッジボール」か「キャッチボール」か
東矢氏はまず、コミュニケーションの2つの型として「ドッジボール型」と「キャッチボール型」を紹介しました。
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ドッジボール型:自分の視点が強く、相手の視点に立てていない状態。相手に一方的にボールをぶつけてしまうようなコミュニケーションです。
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キャッチボール型:自分の視点を持ちながら、同時に相手がどう考えているかを意識できている状態。相手の受け取り方を考慮したコミュニケーションを指します。
価値観の近い相手ほどドッジボール型になりやすく、初対面の人と関わる場面では特に「相手はどう感じるか」を意識することが重要です。東矢氏自身も「自分の視点が強いタイプ」だと指摘されており、週1回、心理カウンセリングの有資格者と対話する時間を設けているそうです。自分の癖は自力では抜け出しにくいため、人の力を借りることも有効であると述べられました。
なぜ「相手の状態を知る」ことが重要なのか
自己マネジメントには限界があり、どんなに優れた人でも一人の力だけで成果を出し続けることはできません。1万人の社員を抱える経営者が社員の視点を取り入れる環境づくりに注力するように、「相手の視点をいかに取り入れるか」がマネジメントの核心であると東矢氏は語ります。
相手の状態を把握できれば、自分の振る舞いも変えやすくなります。逆に、状態を知らないまま関わると、次のようなすれ違いが生まれがちです。
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状態が低いときに高い負荷をかけると、不安感が高まり、他責(周囲への不満や責任転嫁)が生じやすくなります。
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状態が高いのに負荷が少ないと、物足りなさやふてくされにつながることがあります。
そのため、「状態が低いときは負荷を軽く、高いときは負荷を上げる」のが、キャッチボール型コミュニケーションの基本となります。
日常で使える「存在感×不安感」の2軸フレームワーク
相手の状態を見立てる物差しとして東矢氏が提唱するのが、「存在感」と「不安感」の2軸です。既存のアセスメントは精緻なものの、複雑で日常使いには適さないという難点があります。そこで、縦軸に存在感、横軸に不安感をとり、相手をざっくり4タイプに見立てます。
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満足群(タイプA):存在感が高く不安感が低い。元気でパフォーマンスが高く、対人関係も良好な状態です。
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承認群(タイプB):存在感が低く不安感も低い。認められたい欲求がある状態です。
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配慮群(タイプC):存在感が高く不安感も高い。周囲への矢印(他責)が向きやすい状態です。
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成長群(タイプT):存在感が低く不安感が高い。停滞感があり、言葉も失いがちな状態です。
このフレームワークは、学校の先生から行政、一般企業、IT、製造業まで業態を問わず約7万人・700社を対象に、23項目の質問で定点測定した分析から導き出されました。存在感が高く不安感が低い人ほど、高いパフォーマンスを発揮できている傾向が見られます。
ただし、東矢氏は「これが全てではなく、あくまで日常のコミュニケーションのガイドライン」と位置づけています。
存在感を上げる「4つのアプローチ」
「褒めて伸ばす」は存在感へのアプローチの一つですが、褒めるだけでは根拠のない自信を生むだけで不十分であると東矢氏は指摘します。存在感を高めるための入り口は、次の4つです。
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認知:声かけ、挨拶、名前を呼ぶなど、相手の存在を認めることです。
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反映:相手の行動や発言にリアクションすることです。
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裁量:選択肢を与え、自分で決める機会をつくることです。
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承認:褒める、部分的に認めることです。
実践例:終わりの会
小学校の「終わりの会」のように、1日の振り返りをLINEグループなどで共有する仕組みが効果的だと言います。「今日できたこと・できなかったこと」はどちらを書いてもよく、できなかった人には「そんな日もあるよ」とフォローします。責めずに認め合うことで心理的安全性が高まり、「このグループにいていい」という存在感と信頼関係が育まれるでしょう。不具合や問題が早い段階で表面化しやすくなるのも、大きな副次効果です。
会社では「朝礼(朝の会)」を取り入れても「終わりの会」がない組織がほとんどです。リモートワークが中心の今こそ、こうした認め合いの場づくりが効果を発揮すると考えられます。
不安感を下げる「4つのアプローチ」
不安感を下げるための入り口も、同じく4つに整理されます。
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見通し:目的・目標を明確にすることです。
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安全:失敗を責めない心理的安全性をつくることです。
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支援:できないことは人の協力を得ることです。
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公平:役割・評価の透明性を保つことです。
その上で意識したいのが、次のポイントです。
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自分でコントロールできることと、できないことを分けることです。
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「なぜやるのか」という目的意識を持つと、使命感が生まれ、優先順位もつけやすくなります。
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自分にできることを積み重ね、自己効力感を育てることです。それが本物の自信の土台になります。
ここで東矢氏が強調したのは、目指すべきは「安心感」ではなく「不安感を下げること」だという点です。安心感を求めすぎると、かえってリスク管理能力が低下し、慢心しやすくなるのだそうです。目的意識という「見通し」を持つことこそが、健全に不安感を下げる鍵になります。
状態に応じた関わり方と「間接マネジメント」
2軸で相手の状態を見立てられると、関わり方を変えることができます。
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満足群(存在感が高く不安感が低い):「その先の世界観はどうですか?」と視座を上げる会話でモチベーションを高めます。ビジョンや目的の話でスイッチが入り、期待や負荷を意識的に高めると想定以上の成果につながるでしょう。
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存在感が低い人:とにかく多く声をかけ、認知してあげることが大切です。
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不安感が高い・停滞している人:同じ視点に立って一緒に考えます。急な変化を求めず、小さな一歩を重ねることが重要です。
興味深いのが、「間接マネジメント」という視点です。やる気の高いリーダーほど、状態の低い人にも高い負荷をかけてしまい、知らぬ間にドッジボール型になりがちです。そのような場合、協力隊がそのリーダーの「周りにいる人」に代わりに声をかけて認知してあげることで、チーム全体を間接的に整えられるという実践的なヒントも共有されました。
参加者の気づき
後半は、参加者が身近な人を2軸に当てはめながらのディスカッションが行われました。次のような声が挙がっています。
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にしけんさん:不安感はイメージしやすかったが、存在感の違いは最初わかりにくかった。コミュニティ運営でメンバーが途中で失速する現象と重なって腑に落ちました。
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クラフトさん:周囲を巻き込める人ほど存在感が高いと感じました。ふるさと会で、一方的に説明する主催者と、積極的に人を巻き込む参加者との違いを実感しました。
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そうたさん:接している役場の方は満足群だが、地域への自信は低い印象がありました。その部分に不安感が出ているのではと感じました。東矢氏からは「その先にいるメンバーに代わりに声をかけることが、間接的なマネジメントになる」と助言がありました。
「存在感・不安感の視点は、日常のニュースやドラマ、映画を見るときにも応用できます」と東矢氏は述べました。明日から接する人を2軸で観察し、関わり方を一つ工夫してみることが参加者への宿題となりました。
講師紹介

東矢 昌夫(とうや まさお)さん
株式会社ティーブレーン 代表取締役・理想の職場作り勉強会 主催者
兵庫県西宮市出身。関西学院大学を中退し、1998年からニューヨークに移住、2001年に帰国されました。株式会社Plan Do Seeでゼネラルマネージャーや外部企業のコンサルタントを務めた後独立し、株式会社ティーブレーンを設立。幼少期から学生時代はサッカーに没頭し、キャプテン・副キャプテンを歴任されています。Plan Do See在籍時に培った「社員のマネジメントで業績に貢献してきた感覚的な経験」を、心理学や教育学の学術的根拠に基づいてプログラム化してきました。人材育成や事業開発のコンサルティング、プロスポーツチームや大学の非常勤講師などを経て、現在は個人と組織が主体的にパフォーマンスを発揮するための個別サポートやプロジェクト型の企業支援に従事されています。子どもから大人まで、それぞれに合わせて「やってみようと思える気持ち」を育むことに寄り添っています。
現在の主な肩書
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株式会社ティーブレーン 代表取締役
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理想の職場作り勉強会 主催者
活動内容
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組織アセスメント分析
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人材育成コンサルティング
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評価基準作成
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採用活動サポート
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セールス&マーケティングサポート
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子育て支援
今後の展望
株式会社あるやうむでは、今後も派遣協力隊員同士が知見を共有する勉強会を継続していく予定です。各地域で生まれた実践を横断的に活用し、地域全体の価値向上につなげていくことを目指しています。
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株式会社あるやうむについて
DAOやNFTによる地方創生を推進するため、全国の自治体向けにふるさと納税NFT、観光NFT、地域おこし協力隊DAOソリューションを提供する、札幌発のスタートアップです。地域の魅力をのせたNFTをふるさと納税の返礼品にしたり、地域でDAOを運営したりすることを通じて、新たな財源を創出しています。あわせてシティプロモーションや関係人口の創出にもつなげています。
社名「あるやうむ」はアラビア語で「今日」を意味する言葉です。いますぐチャレンジしたい自治体・地域の皆様にNFTという先端技術を提供し、応援され続ける地域づくりを支援しています。
株式会社あるやうむ 会社情報
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会社名:株式会社あるやうむ
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代表者:畠中 博晶
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所在地:札幌市北区北38条西6丁目2番23 カトラン麻生302号室
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設立:2020年11月18日
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資本金:1億6449万円(準備金含む)
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事業内容:NFTを活用した地方創生コンサルティング・開発
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Twitter:https://twitter.com/alyawmu/





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