健康経営関連市場が拡大へ
「健康経営」は、従業員の健康管理を経営的な視点から捉え、戦略的に実践する取り組みとして、近年その重要性が高まっています。生産性や従業員エンゲージメントの向上、組織の活性化、人材の確保・定着、さらには企業価値の向上に繋がることから、多くの企業が注目しています。
法制度の変化と健康経営の推進
少子高齢化や労働力人口の減少が進む中、健康経営は人的資本の価値を高め、持続的な企業経営を支える取り組みの一つとして広く認識されています。政策面では、経済産業省を中心に健康経営銘柄や健康経営優良法人認定制度などを通じ、その普及・推進が図られてきました。
企業を取り巻く法制度も変化しており、2025年には改正育児・介護休業法が段階的に施行され、育児期の柔軟な働き方や介護離職防止に向けた両立支援が強化されました。また、職場における熱中症対策の体制整備等も義務化されています。2026年4月には高年齢労働者の特性に配慮した職場環境の改善等を求めるエイジフレンドリー指針が適用され、2028年4月からは労働者数50人未満の事業場についてもストレスチェックの実施が義務化される予定です。これらの法改正・制度整備を背景に、企業には従業員の多様な課題への対応がこれまで以上に求められています。
健康経営関連市場の全体像を調査
株式会社シード・プランニングは、従業員等の健康管理業務に関わる主任職以上約500名を対象としたアンケートやサービス事業者へのヒアリングを通じて、健康経営関連市場の実態を明らかにしました。
本調査では、健康経営を取り巻く以下の6つの領域を健康経営関連市場と定義しています。
- 従業員の健康管理
- 労働管理・安全衛生
- 保険者とのコラボヘルス
- 企業主体の健康施策
- 職場環境改善・組織活性化
- ワークライフバランス
この調査の目的は、各市場概況、事業者動向、市場規模をまとめ、健康経営関連市場の全体像を把握することです。

2035年には約2兆円規模へ拡大予測
健康経営関連市場は、2025年には1兆4,712億円のマーケット規模があり、2035年には1兆9,764億円(2025年度比約1.3倍)に成長すると予測されています。具体的には、2025年から2035年の約10年間で、法令等に基づく従業員の健康管理や労務管理・安全衛生が約1.4倍、保険者とのコラボヘルスや企業主体の健康施策など従業員の健康保持・増進・予防が約1.3倍、職場環境改善・組織活性化領域が約1.5倍、ワークライフバランス領域が約1.4倍に拡大する見込みです。

法制度対応から労働者の生活と仕事の両立支援、QOL向上まで、健康経営の幅広い取り組みが期待されています。
健康投資の予算と取り組みの方向性
企業アンケートでは、36項目の健康施策に対する今後の予算方向性が尋ねられました。その結果、「強化」の上位には「労務・安全管理(労災や残業抑制等)」や、その対策の一つである「熱中症」、また「健康経営計画策定・実施・効果検証」や、これらを評価する顕彰制度である「健康経営関連の認証取得」などが挙げられました。

法令遵守を徹底しつつ、健康経営を推進することで、組織の生産性や持続的成長につなげようとする企業の動きがうかがえます。
健康投資の取り組みの方向性については、「産業保健スタッフ等を強化して内製化を推進」が最多でした。従業員500人以上規模の過去のアンケート結果と比較すると、2020年以降「産業保健スタッフ等を強化して内製化を推進」が微増傾向にあり、健康経営を推進する中で産業保健スタッフ等の充実が図られている様子が見られます。

今後は、内製化が進む一方、内製だけでは対応が難しい、または内製の取り組みを補完するために、「民間企業等への外部委託を推進」する流れも一定程度あると考えられます。
今後の展望
健康経営関連市場は、産業保健、労務・安全衛生、保険者の保健事業、福利厚生、人事・組織支援等の既存市場が、健康経営・人的資本経営を軸に再編・高付加価値化していく市場であるといえるでしょう。今後は、ストレスチェックや熱中症対策、育児・介護支援などの法令・制度対応を契機として、中小企業などまで市場の裾野が広がると予測され、さらなる市場成長が期待されます。
本調査の詳細については、以下のリンクからご確認いただけます。





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