介護業界の共通課題「主任が育つ機会の不足」
介護業界では、長年にわたり人材の確保と定着が課題とされています。その解決に大きく影響する存在でありながら、育成の仕組みが十分ではなかったのが「主任」層です。主任は、日々の業務に加え、メンバー育成やチームづくりといった幅広い役割が期待されます。しかし、業務に追われる中で、他法人の取り組みに触れたり、自組織を客観的に見つめ直したりする機会は多くありませんでした。
なんじょう苑グループは、これまで業界平均を上回る給与水準や明確なキャリアパスの提示など、待遇面から介護職のイメージを変える取り組みを進めてきました。本プログラムは、その次の柱となる「人材育成」の具体的な実践です。また、琉新の風も「自他共栄」を経営理念に掲げ、介護職の地位向上と処遇改善に取り組んでいます。介護という仕事の価値を高めたいという両社の共通の思いが、今回の合同プログラムにつながりました。

「越境学習型 主任合同育成プログラム」の概要
本研修は、組織の枠を超えて学び合うことで、自社の「当たり前」を見直し、外部の視点から自社の強みや魅力に改めて気づくことを目的としています。知識の習得だけでなく、現場での行動変容と定着を重視して設計されたプログラムです。
| プログラム名 | 越境学習型 主任合同育成プログラム |
|---|---|
| メインテーマ | 「自分で成果を出す人」から「周囲を通じて成果を生み出す人」へ |
| 企画・運営 | 株式会社Cosmic Consulting |
| 参加法人 | 日南株式会社(なんじょう苑グループ)/株式会社琉新の風 |
| 対象・人数 | 両社の管理者・主任クラス 計18名 |
| 期間・回数 | 2026年6月〜11月 全6回(2時間×5回、最終回のみ3時間) |
| 実施形式 | 対面 |
カリキュラム内容(全6回)
| 第1回 | リーダーへの役割転換|主任としての役割を理解する |
|---|---|
| 第2回 | 関係構築と対話|聴く・伝えるの土台をつくる |
| 第3回 | 育成と任せる力|抱え込みから脱却する |
| 第4回 | チームを見る視点|チーム課題を構造的に捉える |
| 第5回 | 上司補佐と巻き込み|フォロワーシップを高める |
| 第6回 | 実践振り返りと行動宣言|自分のリーダー像を言語化する |
研修の特徴:答えを「教えない」設計と3つの軸
本研修は、講師が正解を示す講義形式ではありません。気づきのヒントとなるレクチャーは要所で行われますが、受講者自身が「自ら考え、悩み、対話から答えを導き出すプロセス」が重視されています。この主体的な葛藤を現場での行動変容につなげるため、次の3つの軸で構成されています。
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役割変容: 他法人との対話を通じて、「チーム成果を生み出すリーダー」としての本質的な役割に自ら気づきます。
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学びを実践へ: 他社の具体事例に刺激を受け、自組織での実践方法を主体的に考えて現場へ持ち帰ります。
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現場定着: 直面する課題に試行錯誤を繰り返しながら、自組織に最適化された答えを自力で導き出します。
第1回研修レポート
2026年6月18日に実施された第1回研修は、参加者同士のチェックインから始まりました。初対面にもかかわらず和やかな雰囲気でスタートし、互いを称え合う拍手が自然に沸き起こるなど、打ち解けようとする高い熱意が見られました。事業紹介では、参加者が自分の事業所だけでなく「会社の顔」として説明や質疑に応じ、自社を俯瞰して語る機会となりました。その後、「主任になってから感じている悩み」をテーマに対話が実施されました。
以下のような悩みが、法人を問わず多く挙げられました。
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年上の職員への関わり方
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新人育成の進め方
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主任としてどこまで踏み込んで伝えるべきか
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チーム内のコミュニケーション
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自分一人で抱え込んでしまうこと
外部の視点に触れることで、自組織の強みに改めて気づく場面も見られました。他法人の就労支援の取り組みを知った受講者からは、自法人にはない強みだと感じたという声も上がり、立場を超えた相互理解が生まれる場となりました。

受講者の声
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「単一の組織内だけよりも参加人数が多く、多様な意見が聞けたことで学びが多かった」
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「他法人の異なる介護のやり方や考え方に触れ、率直に楽しかった。言葉遣いや伝え方の悩みで深く共感し合えた」
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「社内だけだと意見が固定化しやすいが、第三者目線で新鮮な意見や悩みに触れられた。他社の主任も同じ悩みを抱えていると知り共感した」
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「日々の業務の中で自分の視野が狭くなっていることに気づかされた。これを機に視野を広げ、さまざまな価値観を吸収したい」
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「他社の主任たちの話を聞く中で、自分の視座はまだまだだと痛感した。負けずに頑張りたいという強いモチベーションが湧いてきた」
今後の展望
本プログラムは2026年11月まで全6回にわたって継続し、最終回では受講者それぞれが自らのリーダー像を言語化する「行動宣言」を行う予定です。
なんじょう苑グループは、待遇改革と人材育成の両輪により「介護を誇れる仕事にする」というビジョンの実現を目指しています。今回のように法人の枠を超えて学び合う取り組みが県内に広がることで、沖縄の介護業界全体で人が育ち、定着する環境づくりにつながることが期待されます。
各社代表コメント
なんじょう苑グループ 代表取締役 新垣 憲良氏

「介護の人手不足は、採用だけでは解決しません。今いるスタッフが育ち、長く働き続けられる組織をつくることが本質だと考えています。私たちはこれまで、業界平均を10%以上上回る給与水準やキャリアパスの整備など、待遇の面から介護の価値を高めることに取り組んできました。次は育成です。とはいえ、自社だけで研修をやっても、出てくる答えは自社の中にあるものばかり。だから外に出ることにしました。同じ志を持つ琉新の風さんと机を並べ、主任同士がお互いの現場を語り合う。そこで生まれる気づきは、社内研修では得られないものです。介護を誇れる仕事にする。その実現には、一社だけでは足りません。」
琉新の風 代表取締役 兼島 樹氏

「多くの主任が他社との交流を通じて、自社にはない文化や風土に触れ、新しい気づきを得ていると感じています。その気づきをもとに自社にできることを考え、挑戦していく。新しい行動を上司が認め、フォローし、成功体験を積み上げ、その文化を次の世代へ引き継いでいける。そんな会社であり続けたいと願っています。もっと楽しく、もっと真剣に、もっとふざけられる。そんな企業風土が業界全体に広がれば、若い世代も介護業界に興味を持ち、業界の未来も明るくなるのではないかと期待しています。」
Cosmic Consulting 代表取締役 波上 こずみ氏

「人材不足が課題と言われる介護業界ですが、本当に大切なのは、採用だけではなく、従業員一人ひとりが本来持っている力を発揮できる組織をつくることだと思っています。そのためには、現場でメンバーの成長を支える主任の存在が欠かせません。事業者の枠を超えて学び合い、互いの経験や価値観に触れることで、主任自身が成長し、その変化が現場や組織へ広がり、沖縄の介護業界全体の力につながることを願っています。」
会社概要
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日南株式会社(なんじょう苑グループ)
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所在地:沖縄県南城市大里大城2005-1
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代表者:新垣 憲良
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事業内容:有料老人ホーム、訪問看護、訪問介護、通所介護等の運営
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株式会社 琉新の風
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代表者:兼島 樹
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所在地:沖縄県中頭郡西原町上原1丁目8番地1
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事業内容:住宅型有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅、通所介護、訪問介護、訪問看護、居宅介護支援、就労継続支援A型・B型 等の運営
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株式会社Cosmic Consulting(企画・運営)
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代表者:波上 こずみ
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事業内容:組織開発コンサルティング、人材育成研修の企画・運営
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