品質改善課題が残る職場で品質不正の懸念が約3倍に 「経営層の姿勢」が改善を阻む「品質経営浸透ギャップ」が露呈
株式会社日本能率協会総合研究所は、製造業上場企業の生産・製造・開発・営業現場で働く従業員1,200名を対象に、「第4回 従業員の品質意識」アンケート調査を実施しました。この調査により、品質改善課題がある職場では、品質不正の発生や懸念、内部通報の経験や意向が、改善課題がない職場と比較して約3倍に達していることが明らかになりました。また、改善が進まない背景には、管理職の4割が指摘する「経営層の姿勢」が大きく影響していることが示されています。同社はこの現場と経営層の認識のズレを「品質経営浸透ギャップ」と名付け、継続して注目していくとしています。
調査結果のポイント
1. 品質改善課題が品質不正につながる可能性
上場企業の生産・製造、開発、営業部門の管理職の約4分の3が、職場に品質改善すべき点があると認識しています。職場に品質改善課題が「ある」と回答した管理職のうち、最近5年間に「品質不正が発生、または発生懸念がある」と答えた人や、「内部通報した、またはしたいと思った」と答えた人は、ともに約3分の1に上ります。これは、品質改善課題が「ない」場合と比較して約3倍にあたります。

2. 品質改善への取り組みの現状
職場の品質改善課題への取り組みについて、「うまく進んでいない」または「取り組んでいない/やめてしまった」と回答した管理職は合計で4割強に達しています。このうち、約半数は支援や協力があれば改善を進める意向があることが示されています。

3. 改善が進まない背景に「経営層の姿勢」
改善の取り組みが進まない理由として、「職場内の関心不足」が3割強でトップに挙げられました。次いで「職場で取り組む時間の不足」「改善策実施のための知識・技能不足」「改善策立案力不足」が僅差で続き、職場内外の協力不足も約2割を占めています。

また、求められる品質実現のために「改善が進むと一番効果が大きいもの」として、「経営層の姿勢」に関連する否定的な経験を挙げた管理職が4割に達しています。これは「部門間連携」や「管理職に改善余地」があるといった経験を大きく上回る結果です。

自由回答では、経営層の「品質に関する考え・優先順位」のズレに関する言及が目立ちました。例えば、以下のような声が聞かれています。
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「言葉では品質は全てにおいて優先すると言っているが、実際にはお金の方が大事な経営層が多く抜本的な対策を織り込めずその場凌ぎになってしまうケースが多い」(生産・製造、部長クラス)
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「納期、売上と品質がぶつかった時、きちんとトップ指示で品質を優先させるなら、そう明言する文化が育ってほしい」(開発、課長クラス)
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「人材育成、スキルの習得には時間がかかるが、その期間と費用を費やしての投資対効果を経営層が甘く考えている」(開発、課長クラス)
4. 品質問題発生への懸念と従業員のエンゲージメント
品質問題発生に懸念がある層は、「会社の品質に誇りを持っている」「会社の将来は明るい」と肯定的に捉える割合が顕著に低いことが示されました。このことから、品質問題への懸念が従業員のエンゲージメントに影響を与え、雇用や離職にも影響する可能性があり、品質は重要な経営課題として位置づける必要があると考えられます。

調査結果についてのコメント
今回の調査結果からは、製造業の現場で重要な品質課題への取り組みが滞っている可能性や、そこに「経営層が経験を通じて感じた姿勢」が影響していることがうかがえます。また、自社の品質は従業員のエンゲージメントにも影響が見られるため、現場任せにせず、経営層が重要な経営課題と位置づけて取り組むことが必要です。
従業員は経営層の「実際の姿勢」ではなく、「経験を通じて感じた姿勢」に影響を受けているため、両者にギャップがある場合、不要な誤解から改善を停滞させないよう努めることが重要です。現場の改善意欲と尽力は前提としつつも、経営層や品質保証部門の支援・協力があれば改善速度が増す可能性も示唆されており、経営層が現場の品質改善活動を支援・協力する姿勢を日頃の言動や施策で示していくことが求められます。
調査概要
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調査名称:第4回「従業員の品質意識」アンケート調査
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調査対象:製造業の上場企業で生産・製造、開発、営業のいずれかの部門に勤務する部長~一般社員1200人
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調査期間:2026年6月2日~6月3日
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調査方法:インターネット調査
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企画・実施:株式会社日本能率協会総合研究所
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