避けたい職場条件、「長時間労働」よりも「人間関係の悪さ」が上位に
ベンチャー企業で働く人々が、職場選びの際に最も避けたいと考えているのはどのような点でしょうか。入社を「ブラック」な職場と判断する最大の要素について質問した結果、以下のグラフのようになりました。

最も割合が高かったのは「給与が低い・上がらない」の15.4%で、次いで「人間関係が悪く、相談しにくい」が13.6%、「過剰なノルマ、過度な目標設定」が12.8%、「従業員の入れ替わりが激しく離職率が高い」が12.3%と続いています。なお、「残業時間が長い」は7.3%にとどまっています。
この結果から、ベンチャー社員がいわゆる“ブラック”と判断する際の軸は、かつて象徴的だった長時間労働から、「報酬を正当に受け取れるか」「人間関係の質に不安がないか」といった要素にシフトしている様子がうかがえます。
ベンチャー社員の68.7%が「職場は話しやすい」と回答
「人間関係」を重視するベンチャー社員が多いことが分かりましたが、実際の職場環境はどうなのでしょうか。現在の職場について、上司や同僚に気兼ねなく相談や意見をいえる「話しやすい雰囲気」だと感じるか質問した結果が以下のグラフです。

「とても話しやすいと思う」が22.4%、「やや話しやすいと思う」が46.3%となり、合わせて68.7%が職場に話しやすい雰囲気を感じていることが分かりました。一方で、「あまり話しやすいと思わない」は18.3%、「まったく話しやすいと思わない」は9.3%にとどまり、相談しにくいと感じている人は少数派です。
意見や相談をしやすいと感じる人が多数を占めており、ベンチャー企業の職場では、上司や同僚とのコミュニケーションが比較的オープンな状態にあるといえそうです。人間関係を重視する社員が多いことも相まって、互いに関係性を大切にしようとする意識が、風通しの良い職場づくりにつながっているのかもしれません。
職場が「話しやすいと思う」社員ほど会社に定着、「そう思わない」社員の転職活動率は2倍以上に
次に、職場の雰囲気と会社への定着率の関係について見ていきます。以下のグラフは、現在の職場が「話しやすい」と感じる度合い別に、転職活動を本格化している社員の割合を集計したものです。

転職活動を本格化している割合は、「とても話しやすいと思う」社員では11.7%、「やや話しやすいと思う」社員では14.2%と、おおよそ1〜2割程度に収まりました。一方で、「あまり話しやすいと思わない」社員では34.1%、「まったく話しやすいと思わない」社員では33.9%と、雰囲気の良い職場の倍以上の割合です。
このデータからは、職場の心理的安全性が低い環境にいる社員ほど、本格的な転職活動に進みやすい傾向が読み取れます。日常的に相談や意見を伝えやすい環境で働くことは、不満の解消や安心感につながりやすく、結果として会社への定着や活躍を支える重要な要素になっているといえそうです。
「裁量の幅が“とても”広い」と感じる社員、93.7%が「職場は相談しやすい」と回答
職場の雰囲気を形づくる働き方の条件にはどのような特徴があるのでしょうか。以下のグラフは、自分の仕事に対して感じる裁量の広さ別に、現在の職場の雰囲気に対する評価を集計したものです。

自分の仕事の「裁量の幅がとても広い」と感じている社員では、「とても話しやすい」が58.2%、「やや話しやすい」が35.5%となり、合わせて93.7%が職場に話しやすさを感じていました。「裁量がまあまあ広い」層でも、話しやすいと感じる人の合計は82.4%に達しています。一方で、「裁量がとても狭い」層では、「あまりそう思わない」と「まったくそう思わない」を合わせた話しにくさを感じる回答が69.3%を占めました。
仕事の自由度が高い層ほど、職場の風通しの良さを実感している割合が高く、逆に裁量が限られている層ほど、相談や意見を言いづらいと感じる傾向がはっきりと表れています。自分で判断できる余地(裁量)の大きさは、周囲との話しやすさという心理的安全性に影響を与える側面があるといえそうです。
職場の「人間関係」を重要視する割合は40代が最多、20代の2倍以上に
最後に、キャリアの段階によって重視するポイントに違いがあるかを見ていきます。以下のグラフは、入社を避ける職場環境と判断する要素として「人間関係が悪く、相談しにくい」を選んだ人の割合を、20代から50代まで年代別に比較したものです。

入社を避ける基準として「人間関係が悪く、相談しにくい」を選択した割合は、20代では9.3%、30代では10.4%と、若手層では約1割にとどまりました。一方、40代では22.4%と全年代で最も高く、20代の2倍以上の数値となっています。また、50代でも16.6%と若手層より高い水準で、「人間関係」が入社をためらう大きな要因となっています。
若手層などでは「ノルマ」や「成長環境」を挙げる人も多く、判断の基準が比較的分散していますが、40代では「人間関係の悪さ」を最大の決め手とする人の割合が大きく上昇しています。経験を重ねたミドル・シニア層ほど、条件面だけでなく、日々一緒に働く相手や職場の雰囲気といった関係性の質も重要と考えているようです。
まとめ:組織文化と相性の見極めがキャリア形成の鍵に
今回の調査からは、ベンチャー企業における職場選びの基準が、長時間労働の有無といったわかりやすい条件から、人間関係の質や相談のしやすさといった「目に見えない環境」へとシフトしつつある様子がうかがえます。一方で、多くのベンチャー社員が現在の職場の話しやすさを実感していることから、人間関係や風通しの良さを備えた環境が着実に広がりつつある実態もうかがえます。
こうした傾向は、自身が働く環境を選ぶ際に、「条件」だけでなく、組織文化や人間関係といった観点をどのように織り込むかを考える材料になるでしょう。転職やキャリアを検討する場面でも、表面的な情報にとどまらず、「どんな組織なら自分は安心して力を発揮できるのか」を掘り下げ、自分に合った職場や働き方を見極める視点を持つことが、納得感のあるキャリア形成につながると考えられます。
本調査に関するオリジナル記事は、以下のメディアで公開されています。
https://professional-studio.co.jp/media/archives/1578
調査の実施概要
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調査機関:自社調査
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調査方法:インターネット調査(株式会社ジャストシステム「Fastask」)
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対象エリア:主要都府県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県)
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対象者:20歳~59歳のベンチャー企業の正社員
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調査期間:2025年12月12日~19日
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有効回答:173名
※本リリースでは、労働力調査および事前スクリーニング結果から推計した「ベンチャー企業の正社員」の性年代別構成比に合わせて、ウェイトバック集計を行っています。
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