調査の背景
日本の製造業は、少子高齢化と技術継承の困難さにより、深刻な人材育成の危機に直面しています。経済産業省などが公表した2025年版ものづくり白書によると、製造業就業者の若年層(34歳以下)の割合は、2002年の31.0%から2023年には23.6%に低下しています。また、85%以上の事業所が「能力開発・人材育成に課題がある」と回答しており、その最多の課題は「指導人材の不足(65.9%)」でした。
現場ではOJT中心の人材育成が主流ですが、AIや自動化技術の急速な普及により、既存スキルだけでは対応できない能力開発の必要性が高まっています。「育てる仕組み」のアップデートが、現場の競争力を左右する時代に入っています。このような環境変化の中で、在職する従業員の「働きがい」とキャリア形成の問題が見過ごされがちです。キャリアパスが不透明なまま日々の業務をこなす従業員は、成長の手応えを感じにくく、将来への不安を抱えやすい傾向にあります。その結果、意欲の低下や離職につながるリスクは、製造業の現場においても例外ではありません。
本調査は、製造業の技能職・技術職に従事する従業員の視点から、働きがいとキャリア形成の実態を定量的に可視化することを目的として実施されました。スキルマネジメント研究所では、「支援の有無」が従業員の成長実感や定着意向にどう影響するかを明らかにすることで、企業や管理職が今取り組むべきキャリア開発支援のあり方を示すことを目指しています。
調査概要
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調査対象: 10〜40代の製造業の企業に務める技術職と技能職に従事する342人
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調査期間: 2026年3月25日〜4月2日
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調査方法: 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
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技術職:研究開発、設計、生産技術など製品の開発や生産プロセスの設計・改善を担う職種
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技能職:生産管理部、製造部など製造現場で直接ものづくりに携わる職種
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調査サマリ:3つの課題が連動して発生
調査の結果、製造業の技能職・技術職において、「働きがいの停滞」「キャリアパスの不透明さ」「会社・上司によるキャリア支援の不足」という3つの課題が連動して発生していることが明らかになりました。特に「支援への不満」と「成長実感の喪失」は強く結びついており、キャリア面談の機会提供、スキルの可視化、キャリアパスの明示といった具体的な施策の不在が、現場の「働きがい喪失」構造の根本にあることが示されています。






詳細な調査結果
Q1. 自身の仕事や業務について、5段階で評価してください。

「やりがいや意義を感じる」と肯定的に回答した層は約41%に達しましたが、「仕事ぶりや努力が認められている」の否定層は約26%存在し、貢献実感と承認実感の間にギャップがあることが示されました。「今の仕事に前向きに取り組んでいる」は肯定が41.5%と比較的高かったものの、「仕事に誇りを感じる」の否定層が約31%と高く、意欲と自己肯定感が連動していない点が特徴的です。
Q2. 自身のキャリア形成について、5段階で評価してください。

「自身の現在のスキルレベルが分かる」は肯定が40.4%と相対的に高かった一方、「会社の中での成長ルート(キャリアパス)が明確に見えている」は否定が45.3%と突出して高い結果となりました。「仕事に対するモチベーションは高い」の否定層が36.2%に達し、キャリアの見通しの不透明さがエンゲージメント低下に直結している可能性が示唆されます。成長実感の肯定・否定がほぼ拮抗(33.3%対33.3%)しており、社員を二極化させている可能性があります。
Q3. 会社や直属の上司から伝えられる現在の期待や評価に納得していますか?5段階で教えてください。

「どちらとも言えない」が30.1%と最多層であり、納得も不満もできない「評価の曖昧な宙吊り状態」に多くの社員が置かれていることが示されました。
Q4. 一つ前の質問で1~3を選んだ方にお聞きします。あなたがそのように感じる理由にあてはまるものを、下記選択肢の中で優先度順で最大3つまで選んでください。

「自分に何を期待しているのかが分かりにくい」が1位選択で39.7%と圧倒的首位でした。次いで「求められる水準が分かりにくい」「評価基準・理由が分かりにくい」が続き、評価の透明性や言語化の欠如が共通課題として浮上しています。「評価が上司の主観に左右されている」も1位選択で12.8%に上り、評価の属人性への不信感も顕在化しています。
Q5. 会社や直属の上司によるキャリア形成や成長支援に関する現在の満足度を教えてください。

Q3(評価への納得感)と比較すると不満の差は縮まるものの、依然として不満足が上回っており、支援の質と量ともに十分でない実態が示されています。
Q6. 会社や直属の上司による支援に関する満足度を5段階で教えてください。

全項目で不満足が40%前後に達しており、支援の網羅的な未整備が示唆されます。特に「OJTの計画的実施」は否定が最多(41.6%)で、育成の計画性や体系性の欠如が際立っています。
Q7. 会社や直属の上司に期待しているものを、下記選択肢の中で優先度順で最大3つまで選んでください。

1位の期待は「定期的なキャリア・期待に関する面談(30.4%)」であり、これはQ6の実施実感との乖離が最も大きい施策でした。次いで「強みが活きる業務アサイン(上位総計で高水準)」「スキル・知識・資格の整理」「習熟度の可視化」への期待も高く、「自分の現在地と将来像を会社と一緒に確認したい」というニーズが一貫して表れています。
スキルマネジメント研究所所長 山川 隆史氏のコメント
スキルマネジメント研究所所長の山川 隆史氏は、今回の調査で明らかになったのは、「キャリア支援の不在」が製造現場における働きがいの低下と人材流出リスクの根本にあるという構造的な事実であると述べています。面談の機会、スキルの可視化、キャリアパスの提示は、決して福利厚生の話ではなく、現場の生産性、品質、技能継承を左右する経営課題であると強調しています。「つくる人が、いきる世界へ」をビジョンに掲げるスキルマネジメント研究所は、スキルデータを基盤としたキャリア開発支援の仕組みを通じて、製造現場で働く一人ひとりが自らの成長を実感できる環境づくりに貢献していくとのことです。
スキルマネジメント研究所について
スキルマネジメント研究所は、2022年6月に設立されました。スキルマネジメントのノウハウや知見の集約・体系化、および調査・研究、社外の有識者・学術機関との共同調査・研究などを活動内容としています。
株式会社Skillnoteについて
株式会社Skillnoteは、「つくる人が、いきる世界へ」というビジョンのもとに、ものづくりにおける人の成長を科学し、ものづくりに関わる全ての人がいきいきと働く社会の実現を目指しています。スキルデータの活用で、ものづくりに関わる人と組織の力を引き出す各種クラウドサービスの開発・販売を行っています。





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