金融業界の業務実態調査:経営層と現場の認識ギャップ、DX導入後の負担増加が明らかに
ゴウリカ株式会社は、日本の大企業に勤務するビジネスパーソンを対象に「業務時間の使い方と生産性に関する調査」を実施し、特に金融業界の業務実態に焦点を当てた分析結果を2026年5月18日に発表しました。この調査により、金融業界における「専門的定型業務」を巡る経営層と現場の間に、業務の捉え方に大きなギャップが存在することが明らかになりました。
専門的定型業務における経営層と現場の認識ギャップ
調査結果によると、金融業界では「専門的定型業務」に関して、経営層と現場の間で認識の乖離が見られます。金融の経営者・部長クラスの50.5%が、専門的定型業務を「経験や社内人脈があるからこそ対応できる高度な業務」と認識していることが分かりました。しかし、現場の一般社員では42.5%が「社内の他の人に任せにくい」と回答しており、経営層が「高度だが任せられる業務」と捉える一方で、現場では「実際には任せにくい属人的な業務」と感じている可能性が示唆されています。
この認識ギャップは、役職が上がるほど専門的定型業務を「高度専門業務」と認識する傾向が強くなることにも表れており、金融の経営者・部長クラスでは50.5%がそう回答し、課長・係長との差は21ポイントと、全体の役職間差の約2倍に達しています。
業務時間の内訳と金融業界の特性
ビジネスパーソンの業務時間全体の内訳では、「コア業務」が48.8%、「専門的定型業務」が25.7%、「定型業務」が25.5%となり、本来注力すべきコア業務以外の「非コア業務」が過半数を占める実態が明らかになりました。
金融業界に限定して見ると、「コア業務」は52.8%と全体平均を約4ポイント上回る結果となりました。しかし、「専門的定型業務」(24.8%)と「定型業務」(22.4%)を合わせた非コア業務は47.2%にのぼり、金融業界においても業務の約半数を占めていることが示されています。このことから、金融業界はコア業務の割合がやや高いものの、業務構造自体は全体と大きく変わらず、コア業務に十分に集中できているとは言い難い状況が浮き彫りとなっています。

生産性向上の優先順位における認識のねじれ
生産性向上に向けて「定型業務」と「専門的定型業務」のどちらの改善を優先すべきかという問いに対し、全体では「定型業務」を優先すべきとする回答が55.7%と多数を占めました。金融業界においても、課長・係長(56.3%)や一般社員(55.2%)では同様の傾向が見られます。
しかし、金融の経営者・部長クラスでは「専門的定型業務」を優先すべきとする割合が54.4%と、「定型業務」を上回る結果となりました。これは、生産性向上の優先対象について、現場は「定型業務の削減」を重視する一方、経営層は「専門的定型業務など、より高度な業務の改善」を優先しているという、役職による明確な認識の違いを示しています。

現場で強く実感される業務の属人化
専門的定型業務を「社内の他の人に任せられると思うか」という問いでは、全体で66.6%が「半分以上は任せられる」と回答した一方で、約3人に1人が業務の属人性を感じていることが分かりました。
金融業界でも「半分以上任せられる」とする回答は全体とほぼ同水準でしたが、役職別に見ると大きな差があります。金融の経営者・部長クラスでは「任せにくい」とする割合が28.2%にとどまる一方、一般社員では42.5%に達しており、現場ほど属人化を強く実感している傾向が見られました。
この結果は、経営層が専門的定型業務を「高度だが任せられる業務」と捉える一方で、現場では「実際には任せにくい業務」と感じているという認識と実感の「ねじれ」が生じていることを示唆しています。

DX導入後も専門的定型業務の負担軽減は限定的、経営層で「負担増」の声
過去3年以内にAI・RPAなどのDXツールを導入した企業に対し、導入後の「専門的定型業務」の負担変化を尋ねたところ、全体では「変わらない」が45.8%で最多となり、「増加」(32.7%)が「減少」(21.5%)を上回りました。
金融業界では、「変わらない」が43.5%と最多でしたが、「増加」は37.2%と全体を上回り、「減少」は19.3%と下回り、DXによる負担軽減の実感は全体より限定的でした。特に金融の経営者・部長クラスでは「増加」が45.9%と最も高く、DX導入後の負担について役職が上がるほど「増えた」と感じやすい構図が浮き彫りとなっています。

DX導入で顕在化する「見えない負担」
DXツール導入後に発生した負担として、全体では「ツールを使いこなすための学習」(46.4%)が最も多く、「複数ツールの使い分け・通知対応」(40.1%)、「新ツールと既存システムの連携」(39.2%)が続きました。
金融業界ではこれらの割合がそれぞれ47.3%、43.5%といずれも全体を上回り、さらに「上司や顧客から期待されるアウトプット」も40.1%と高い結果となりました。特に管理職層にこれらの負担が集中しており、金融の課長・係長クラスでは「複数ツールの使い分け・通知対応」が52.4%、「ツール学習」が50.8%と、いずれも全体平均を大きく上回っています。
この結果は、DX導入による直接的な業務効率化以上に、ツールの運用や調整などの周辺業務の負担が、特に管理職層に集中している構図を明らかにしています。

調査結果が示唆すること
ゴウリカ株式会社の代表取締役である岡本賢祐氏は、今回の調査から金融業界における「専門的定型業務」を巡る経営層と現場の認識ギャップが明らかになったとコメントしています。経営層はこれらの業務を「専門性の高い重要な仕事」と捉える傾向がある一方で、現場では「社内の他の人に任せにくい属人的な業務」と感じている割合が高く、同じ業務でも見えている景色が大きく異なっている可能性が指摘されています。
DXツールの導入が進んでも、専門的定型業務の負担が大きく減ったと感じている人は多くなく、むしろツールの学習や複数システムの運用など、新たな業務が生まれている実態も明らかになりました。専門的定型業務は、手順がある程度決まっているものの、企業ごとの慣習や人間関係、経験知が絡むため、単純な切り出しや自動化が難しい領域です。これが、企業のなかで十分に整理されないまま現場に積み重なり、コア業務に集中する時間を圧迫している可能性があります。
こうした状況を改善するためには、AIやDXの導入だけでなく、業務の標準化や役割分担の見直しなど、業務構造そのものを見直していくことが重要であると考えられています。外部の専門人材を活用しながら業務を再設計するなど、人と仕組みを組み合わせたアプローチが、生産性向上の鍵となるでしょう。
アンケート概要
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期間:2026年1月下旬
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対象:日本の大企業(従業員規模 1,000人以上)のビジネスパーソン1,020人
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業種:製造・物流、卸売・小売、金融
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職種:営業、マーケティング、企画、人事
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役職:経営者、部長、係長・主任、一般社員
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金融業界 役職内訳:経営者・部長 103人、課長・係長 103人、一般社員 134人
ゴウリカ株式会社について
ゴウリカ株式会社は、「人に寄りそう合理化で、世界をもっと自由に、もっとゆたかに。」をビジョンに掲げ、日本のビジネス界の生産性向上に取り組む企業です。
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会社名:ゴウリカ株式会社
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東京本社:東京都渋谷区渋谷1-10-9 MIYAMASU TOWER
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関西支社:大阪府大阪市北区大深町6番38号グラングリーン大阪北館JAM BASE 8階 JAM-STUDIO 802号室
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名古屋支社:愛知県名古屋市昭和区鶴舞1丁目2番32号 STATION Ai 内
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代表者名:岡本 賢祐
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資本金:100百万円
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事業内容:マーケティング、DX、人事領域における合理化支援。人手不足や生産性向上といった企業課題に対し、課題分析から改善策の設計・実装・運用までを包括的に支援しています。
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ウェブサイト:https://gourica.co.jp





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