注目すべき調査結果
1. 生成AIの活用が進む業界では、利用するAIサービスの柔軟性が拡大
調査によると、約半数の回答者が業務で生成AIを活用していることが明らかになりました。特に通信業・情報サービス業・製造業(電機機器等)では、勤務先が契約するサービス以外のAIも利用できる企業が約3割に達し、他業界と比較して高い割合を示しています。

これらの業界では、指定されたサービスの利用を基本としつつも、業務上の必要性に応じて利用範囲を広げられる体制が整いつつあり、生成AI活用において安全性と柔軟性の両立が図られている傾向が見られます。一方、主にフィジカルな業務が多いと考えられる業界や官庁・自治体では、「勤務先でアクセス可能なAIサービスはない」とする回答が過半数を占め、業種による利用環境の差が明確になっています。
2. AIによる業務削減効果はガバナンス体制の構築と相関関係がみられる
生成AI活用に関するガイドラインやルールの有無を調査したところ、通信業・情報サービス業・製造業(電機機器等)では、約6割が全社的なAIガイドラインやルールを整備していると回答しています。金融・不動産業でも同様に高い水準が見られ、生成AI活用に伴うリスクを管理する体制の構築が進んでいると考えられます。

生成AIの導入による既存業務の業務量削減について、ガイドラインやルールの有無で分析した結果、事業部や部署単位でガイドライン・ルールが定められている組織では、業務量が減少したと回答した割合が39.7%でした。これに対し、ガイドラインやルールが存在しない組織では同割合が22.5%にとどまり、約17ポイントの差が見られました。明確なルール設計と利用指針の提示が、業務効率化の実感につながっていることが示唆されます。

3. AIによる職業代替への懸念はいまだ顕在化せず
AIにより職業が代替されるリスクを認識している回答者は全体の約18%にとどまりました。海外ではAI導入に伴う人員削減が課題として指摘される一方、日本では慢性的な人手不足を背景に、AIを労働力不足を補完する手段として前向きに捉える傾向があると考えられます。一方で、映像・音声制作業、製造業(電機機器等)、小売業、専門サービス業(法律等)といった一部業種では、職業代替に対するリスク認識が相対的に高い傾向が見られました。

4. データ主権(ソブリン性)への関心の高まりは業種によって顕在化の兆し
AIに入力した情報が、AIサービス提供企業などに意図しない形で利用されることにリスクを感じる回答者は、全体で35.4%でした。特に金融・不動産業では43.9%、電気・ガス・運輸業では41.9%と高く、機密性の高いデータを扱う業種を中心に、データ主権への意識が高まっていることがうかがえます。今後、こうした業種を起点として、データの所在や利用範囲を自組織の要件に応じて管理できるソブリンAIに対する需要が広がっていく可能性があります。

5. シャドーAIやバイブコーディング(生成AIを活用したプログラミング)による懸念が高まる
回答者の約14%が業務関連情報を私的な生成AIに入力する「シャドーAI」を経験しています。また、バイブコーディングにおいて、処理内容を十分に理解しないまま利用した経験を持つ回答者は約65%に上りました。生成AI活用の浸透が進む一方で、情報漏えいや不適切利用といったセキュリティリスクへの対応の重要性が一層高まっています。


レポート全文について
「AIの利活用・ガバナンス等の動向調査」レポート全文は、以下のKPMGコンサルティングのウェブサイトからダウンロードできます。
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