三菱ふそうトラック・バス、睡眠施策で睡眠休養感が改善
株式会社ニューロスペースと三菱ふそうトラック・バス株式会社は、企業における睡眠改善と健康経営をテーマにした共催セミナーを開催しました。このセミナーでは、三菱ふそうトラック・バスが2025年から取り組んできた「睡眠施策」の具体的な内容や効果が紹介されました。

セミナーには、三菱ふそうトラック・バス株式会社の統括産業医である小笠原氏が登壇し、取り組みの背景、課題の可視化、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニング、睡眠セミナー、効果検証、職種別施策、そして今後の展望について具体的な事例を交えて説明しました。
セミナー後半のパネルディスカッションでは、ニューロスペースの小林孝徳氏も加わり、「健康施策を単発で終わらせないためにはどうすればよいか」「従業員に睡眠の重要性をどう伝えるか」「SAS対策を企業としてどう進めるか」といった実務的なテーマについて議論が行われました。
本セミナーの内容は、以下の解説記事とアーカイブ動画で公開されています。
睡眠を「健康・メンタルヘルス・安全・生産性」を横断する経営課題として捉える
三菱ふそうトラック・バスでは、2023年から健康経営を本格的に開始し、「高ストレス」と「高血圧」を重要な健康課題と設定しました。各種健診やストレスチェックのデータ分析を通じて、睡眠が高ストレス・高血圧双方と関連の強い項目であることが判明しました。
他の健康KPIでは改善が見られた一方で、睡眠に関するKPIは目標未達であったため、2025年からは睡眠を重点テーマとして取り組むことになったのです。
小笠原氏は、睡眠を身体的な健康だけでなく、「メンタルヘルス」「安全」「日中のパフォーマンス」を横断する基盤的なテーマと位置付けていると説明しました。特に、トラック・バスの製造・販売・整備など多岐にわたる業務を担う同社にとって、日中の眠気や集中力低下は、従業員の健康だけでなく、安全や生産性にも直結する重要な課題であると認識されています。

「自社の睡眠課題」の見える化と高い従業員関心
最初のステップとして、約9,000名の従業員を対象とした睡眠に関するアンケートが実施されました。その結果、これまでの健康関連アンケートの回答数(100~200名程度)と比較して大幅に多い約900名から回答があり、従業員の睡眠に対する高い関心が明らかになりました。この調査では、睡眠に満足していると回答した割合は約59%でした。
また、部門によってニーズに違いがあることも判明しました。本社・メーカー機能の従業員からは「睡眠についての知識を得たい」というニーズが多く、販売店などでは「就業環境や睡眠環境そのものを改善してほしい」という声が多く聞かれました。
これらの調査結果を受け、同社はニューロスペースと連携し、単なる睡眠セミナーの開催にとどまらず、「課題の可視化 → スクリーニング → 教育 → 行動変容 → 効果検証」というサイクルを設計しました。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)サーベイに2,500名超が回答
睡眠に関する様々な課題の中でも、同社が最初に重点的に取り組んだテーマの一つが睡眠時無呼吸症候群(SAS)でした。「安全や命に関わり得るリスクから優先して対応する」という観点から、ニューロスペースの睡眠時無呼吸症候群サーベイが実施されました。
約9,000名の従業員のうち2,500名を超える回答が集まり、睡眠に対する従業員の関心の高さが改めて確認されました。個人の回答結果はニューロスペースのみが閲覧し、会社側では閲覧・保存しない仕組みとするなど、個人情報保護にも配慮して実施されました。この調査により、同社ではSAS高リスク者の割合についても、新たに取り組むべき課題として認識し、その結果を次の教育・啓発施策へつなげています。

「睡眠は技術」。知識提供だけでなく具体的な行動へ
SASサーベイの結果などを踏まえ、ニューロスペース代表の小林氏が「睡眠は技術」をテーマに睡眠セミナーを実施しました。セミナーでは、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に基づいた睡眠の基礎知識に加え、日常生活ですぐに実践できる「睡眠の12の技術」などが紹介されました。
「何時間眠ればよいか」という知識だけでなく、就寝前のリラックス、朝の光を浴びる、夕方以降のカフェインを控える、アルコールとの付き合い方を見直す、ベッドでのスマートフォン利用を控える、運動習慣を取り入れるなど、従業員一人ひとりが実際の行動へ落とし込める内容が重視されました。
全社メール、社内テレビ、デジタルサイネージ、ポスター、Teamsなど複数のチャネルを活用し、開催されたセミナーは録画・オンデマンド化されるなど、従業員との接点を増やす工夫も行われています。


睡眠休養感は59%から63.9%へ向上
一連の取り組みを進める中で、同社の睡眠休養感の指標に変化が見られました。睡眠に関する取り組み開始前には約59%だった睡眠休養感の指標が、1年間で63.9%まで上昇しました。この結果は健康管理部門に留まらず、経営層へも報告され、2026年のさらなる睡眠施策だけでなく、2028年、2030年といった中期的な健康経営の姿やKPIまで示すことで、継続的な施策への理解につながっています。

2026年以降の展開:対象範囲の拡大と職種別研修
2026年には、ニューロスペースの睡眠チェック「MySleep」が実施され、その結果をもとに、睡眠状態の良い従業員に共通する生活習慣や、自社特有の睡眠課題が従業員へフィードバックされました。
さらに、業務特性に応じた睡眠研修にも発展しています。運転に関わる業務では、数秒間の無意識の睡眠「マイクロスリープ」をテーマとした研修が実施され、三菱ふそうトラック・バスの社員だけでなく、車両運搬などに関わる協力会社の方々も参加しました。製造現場の従業員向けにも睡眠セミナーを実施するなど、全社員に同じ教育を提供するのではなく、職種や業務上のリスクに応じた睡眠対策へと進化しています。

今後は対象範囲をさらに広げる予定です。2026年10月には、「MySleep」の対象を従業員だけでなく同居する家族にも拡大する計画が進められています。三菱ふそうトラック・バスは健康経営宣言の中で「ふそうで働く人とその家族の心と体の健康づくり」を掲げており、ニューロスペースからも「睡眠改善は本人だけでは継続しにくく、家族の協力が改善の定着につながるのではないか」と提案がありました。これにより、会社の健康経営方針と実際の施策を連動させた取り組みとして、家族を巻き込んだ睡眠改善へと発展しています。
また、派遣社員や請負社員など、同社の事業所で働く様々な方々へのSASサーベイの拡大も検討されています。

健康施策を単発で終わらせない秘訣
パネルディスカッションでは、「健康イベントを単発で終わらせず、効果検証のサイクルを作るにはどうすればよいか」という質問が寄せられました。
小笠原氏は、施策を始める前に「何を課題として取り組むのか」「目指す姿は何か」「現在とのギャップは何か」を整理することが重要だと説明しました。すべての課題を一度に解決しようとするのではなく、まず実行できるものを一つ選択し、「やってみる → フィードバックを得る → 次の施策につなげる」というサイクルを繰り返すこと。そして、その過程自体を従業員や経営層に見せていくことが、継続的な健康施策につながると語りました。

また、「従業員の心に響く睡眠の伝え方」についての質問に対しては、各企業によって従業員が抱える課題は異なるため、まずは「何に困っているのか」を把握することが出発点になるとの意見が示されました。健康施策では「健康に良いからやる」だけでなく、ゲーム的な要素なども含め、従業員自身が楽しめる仕掛けも重要であると紹介されています。
三菱ふそうトラック・バスでは、各部門に「ヘルスプロモーションアンバサダー」を配置し、健康情報の社内浸透を推進しています。さらに、部門独自の健康アクションを行った従業員を表彰する仕組みも設けており、行動を評価・承認することによって、健康づくりを継続する文化づくりにも取り組んでいます。
ニューロスペースによる睡眠改善支援
今回の三菱ふそうトラック・バス株式会社の事例では、課題を可視化し、リスクを発見し、従業員へ正しい知識と具体的な解決方法を届け、行動変容を促し、効果を検証し、経営層へ共有して次の施策につなげるという一連のサイクルが実践されています。
企業の睡眠対策は、単発の睡眠セミナーを開催するだけでは不十分です。ニューロスペースでは、睡眠時無呼吸症候群サーベイや睡眠チェックMySleepをはじめとした睡眠課題の可視化から、睡眠セミナー、職種別研修、個人への改善支援まで、企業ごとの課題に合わせた睡眠改善施策を支援しています。
登壇者の声
人事本部コーポレート安全・健康・セキュリティ部統括産業医 小笠原 隆将 氏

小笠原氏は、睡眠を単なる「睡眠時間」の問題ではなく、身体の健康やメンタルヘルス、安全、そして日中のパフォーマンスにも関わる、働く人にとって基盤となるテーマの一つと捉えていると述べました。2025年から取り組みを本格化し、自社の課題を見える化するところから始め、SASのスクリーニング、睡眠に関する教育、結果のフィードバック、さらに次の施策へとつなげてきたとのことです。一度セミナーやサーベイを実施して終わるのではなく、「やってみる、結果を確認する、次につなげる」というサイクルを継続していくことが大切だと感じているそうです。今後は従業員本人だけでなく、ご家族や三菱ふそうで働く様々な方々にも対象を広げながら、三菱ふそうに関わるすべての人々の健康とウェルビーイングを後押しできる取り組みに発展させていきたいと考えていると語りました。
株式会社ニューロスペース 代表取締役社長 小林孝徳 氏

小林氏は、三菱ふそうトラック・バスが厚生労働省推奨の睡眠ガイド2023に基づき、疾病罹患型の睡眠休養感欠如者を先に対応した後にヘルスケアサービスを実施し、多くの従業員が睡眠改善を実現できたことを評価しました。特に、睡眠施策を単発の健康イベントとして終わらせず、データをもとに課題を可視化し、施策を実施し、その結果を検証して次のアクションへつなげるというサイクルを継続している点を素晴らしいと感じているそうです。SASサーベイには2,500名を超える従業員が回答し、睡眠休養感も約59%から63.9%へと改善が見られたことは、従業員の睡眠に対する関心の高さと継続的な取り組みの重要性を示す意義深い事例であると述べています。今後は職種ごとの課題に合わせた睡眠教育や、ご家族、協力会社への対象拡大も進められることに対し、ニューロスペースとしても「測って終わり」「学んで終わり」ではなく、一人ひとりの具体的な行動変容と企業全体の健康・安全・パフォーマンス向上につながる睡眠施策を、三菱ふそうトラック・バスとともに推進していくとコメントしました。
まとめ
ニューロスペースは今後も睡眠の専門機関として、人々の睡眠課題の改善を通じて、労働安全衛生、メンタル不調予防、生産性向上、そして健康経営の推進を支援していきます。睡眠施策の実施にご関心のある企業は、ぜひお問い合わせください。
会社概要
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会社名:株式会社ニューロスペース
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所在地:東京都墨田区横川1丁目16-3 横川倉庫2F センターオブガレージ
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代表者:代表取締役社長 小林孝徳
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設立:2013年12月
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事業内容:睡眠を軸とした企業の健康経営支援および睡眠ビジネス構築支援





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