若年層の仕事と育児両立意識調査結果が速報公表
厚生労働省が推進する「共育(トモイク)プロジェクト」は、若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査結果(速報)を2026年7月31日(金)に公表しました。この調査は、共働き・共育ての推進に向けた社会的機運の醸成や、企業における両立支援制度の活用促進を目的として実施されたものです。
「共育(トモイク)プロジェクト」とは、職場や家庭における「ワンオペ」の実態を変え、男女ともに希望に応じて仕事と家事・育児を両立し、「共に育てる」社会を目指す厚生労働省の広報事業です。特に企業へのアプローチを主軸に、雇用環境や職場風土の改善、多くの企業が「共育て」しやすい環境作りに積極的に取り組めるよう普及啓発活動を展開しています。共育プロジェクトの詳細については、共育プロジェクトWebサイトをご覧ください。「共育て」とは、パートナー同士が協力し合って家事・育児に取り組むことを指します。

調査結果(速報)のサマリー
今回の意識調査の結果(速報)のサマリーは以下の通りです。
意識の変化
-
若年層の約7割が「共育てはこれからの時代に必要」と、共育てにポジティブな回答をしています。
-
若年層の約6割が「自分と配偶者・パートナーが同じくらい主体的に子育てを行いたい」と回答しています。
-
若年層の約7割が、会社選びの際に「仕事(キャリア)とプライベートの両立を意識している」と回答しています。
現状
-
配偶者・パートナー間における希望する家事・育児分担割合は「5:5」が約4割で最多ですが、実際に「5:5」での分担を実現できている家庭は約2割であり、希望と現実にギャップが存在しています。
-
「自分の職場は子育てとの両立がしやすい」と感じている場合、そうでない場合に比べ、「今の職場で働き続けたい」との回答割合が44.9ポイント高く、約8割となっています。
企業に求めること
-
仕事と育児の両立に積極的に取り組みたい若年層は、若年層全体に比べて、仕事と育児を両立できる環境があればキャリアアップしたいと思う割合が21.9ポイント高くなっています。
-
子育て中の人が企業等に求めることの上位は、「業務量の適正化」「上司・管理職の理解促進」「長時間労働等の削減」「制度を利用しやすい雰囲気づくり」「家事・育児分担の見直しに関する支援」が挙げられています。
調査概要
-
調査目的:
- 共働き・共育てに関する若年層の意識を把握すること。
- 若年層の育休やワーク・ライフ・バランスへの意向を明らかにすること。
- 学生・若手社会人に加え、子育て期の社会人の仕事と育児の両立に関する意識や意向についても調査を行うこと。
-
調査手法: WEBによる定量調査(性年代別等人口に合わせたウェイトバック集計を実施)
-
調査対象: 全国 17~39歳男女 高校生・大学生など及び社会人
-
回答数: 15,845人
-
調査実施日: 2026年6月13日(土)~2026年6月17日(水)
調査結果の詳細
家事・育児と仕事の両立や共育てに対する意識の変化
育休取得意向
子どもを持つことを希望する若年層の約9割が育休の取得を希望しており、そのうち約7割が1か月以上の育休取得を希望しています。男女別で見ると、男性の5割超、女性の約8割が1か月以上の育休取得を希望していることが分かりました。

共育てに対する意識
若年層の約7割が「共育て」は「これからの時代に必要」「より子育てしやすい社会になる」「家族との理解や信頼を深める」など、ポジティブな回答をしています。また、「共育てのかたちは家庭ごとにそれぞれ」「社会や職場の支援が必要」との回答も約7割に上りました。

子育てに対する関与意向
若年層の約6割が「自分と配偶者・パートナーが同じくらい主体的に子育てを行いたい」と回答しています。

仕事と子育てに関するジェンダー意識
育児や家事に関する項目について、若年層の約8割が性別は関係ないと回答しており、性別にとらわれない役割分担の考えが主流であることが示されています。

仕事(キャリア)とプライベートの両立意識
若年層の約7割が、会社を選ぶ際に仕事(キャリア)とプライベートの両立を意識していると回答しています。

子どもが生まれたあとに希望する働き方
子どもが生まれたあとの働き方の希望は「フルタイムで定時帰宅」が約4割で最も多い結果となりました。男性では「フルタイムで定時帰宅」が約4割、「フルタイム+残業」が約2割の順で多く、女性では「短時間勤務」が約4割、「フルタイムで定時帰宅」が約3割の順で多い傾向が見られます。

仕事と家事・育児の両立に関する現状
希望する働き方の実現状況
希望する働き方ができている人の割合は、子どもが生まれる前と後で、6割超から約5割に減少しています。

家事・育児分担割合の希望と現実
子育て世代が希望する家事・育児分担割合は「5:5」が最も多く約4割ですが、実際の分担割合では「5:5」は約2割にとどまり、女性の分担割合が高くなっています。

配偶者・パートナーの家事・育児参画による影響
配偶者・パートナーが今よりも積極的に家事・育児に関わるようになった場合、男性に比べ女性は、項目全般においてプラスの影響があると回答する割合が高くなっています。

希望の働き方を実現する上でハードルになりそうなこと
子育てをする時期に希望する働き方を実現する上でハードルになりそうなこととしては、「業務量」「長時間労働」「突発的な業務」「上司の理解」「勤務時間の柔軟な調整」が多く挙げられています。

職場の両立のしやすさと希望する働き方の実現度合い
子どもが生まれたあとに希望する働き方ができている人は、できていない人に比べて、「自分の職場は子育てとの両立をしやすい」と感じている割合が37.0ポイント高くなっています。

職場の両立のしやすさと今の職場で働き続ける意向
「自身の職場は子育てとの両立がしやすい」と感じている人は、そうでない人に比べて、「今の職場で働き続けたい」と回答した割合が44.9ポイント高く、約8割に達しています。

両立のための家庭における工夫
希望する働き方ができている人は、配偶者・パートナーとの間で「勤務予定や繁忙期の共有」「家事・育児分担の定期的な話し合い」を行っているとの回答割合が高くなっています。「特に行っていることはない」と回答した割合は、希望する働き方ができていない人の間で高い傾向が見られます。

共育て実現のために企業に求めること
両立の意向とキャリアアップ志向
仕事と育児の両立に積極的に取り組みたい若年層は、若年層全体に比べて、「仕事と育児を両立できる環境があればキャリアアップしたいと思う」割合が21.9ポイント高くなっています。

就職活動時に知りたい企業に関する情報
就職/転職活動をするにあたって知りたい情報として、男性/女性の育休取得率が上位に挙げられています。男性は「男性の育休取得率」「男性の育休取得日数」を知りたい割合が高く、女性は「女性の育休取得率」「出産・育休後の復職率」を知りたい割合が高い傾向にあります。

就職したい気持ちが高まる企業の取組に関する情報
就職意欲が高まる情報として、「両立支援制度の充実」「育休取得者のサポート体制」「育休後の復帰やキャリア形成に関する支援」「経営者の方針の明示」など、「職場環境や支援制度」に関するものが多く挙げられています。男性の育休取得率・日数等については、回答割合が男女でほぼ同水準となっています。

働きやすい職場づくりや両立支援等に関する社内の取組
社内で積極的に取り組まれていると思うこととして、「有給休暇取得の促進」が約5割、「残業時間の抑制」が約4割の回答となっています。両立支援に関する「経営層のメッセージ」や「男性育休取得促進」などは、約3割の回答です。

両立を実現できている要因
希望の働き方や子育てとの両立ができていると感じる要因として、「業務量が適切で、時間の余裕がある」「同僚・チームの理解や協力」「業務量や労働時間を調整できる」「上司・管理職の理解」「長時間労働の職場ではない」が多く挙げられています。

両立を実現するために企業等に求めること
子育て中の人が企業や周囲に求めることとして、「業務量の適正化」「上司・管理職の理解促進」「長時間労働・残業の削減」「制度を利用しやすい雰囲気づくり」「家事・育児分担の見直しに関する支援」が多く挙げられています。

推進委員からのコメント
共育(トモイク)プロジェクト推進委員座長 羽生祥子氏のコメント
羽生祥子氏は、今回の調査結果から以下の点を指摘しています。
-
若年層の育休ニーズの変化と職場の理解: 男女ともに「1か月以上」の育休取得希望が半数を超えており、職場はこのニーズを正しく理解する必要があるとしています。もはや「男性=いわゆる「取るだけ育休」」で済む時代ではないことがよく分かると述べています。
-
家庭内での課題から「職場全体の課題」への意識転換: 若年層では男性も育児に非常に意欲的であり、育児に関する項目で約8割が「性別は関係ない」と回答していることから、「両立が大変な時期」はもはや女性だけの課題ではないということを、職場全体で正しく理解していく必要があると強調しています。
-
多様化する働き方の希望と企業の意識改革: 子どもが生まれた後でもフルタイムで定時帰宅を希望する女性が約3割と、時短勤務の希望に迫ってきていることから、「脱ワンオペ・共育」のニーズの現れであり、企業の人事は「子どもが生まれたら時短勤務」というステレオタイプになっていないか、意識のバージョンアップが必要であると述べています。
-
仕事と家庭の両立がもたらす組織へのインパクト: 家庭と仕事の「両輪」があるからこそ、どちらもポジティブに続けられ、結果的に幸福度も高まるとしています。幸福な気持ちで家庭と職場を行き来する社員が増えることは、組織全体の大きなパワーにつながると考えています。

共育(トモイク)プロジェクト推進委員 平野翔大氏のコメント
平野翔大氏は、今回の調査結果について以下のコメントを寄せています。
-
両立の壁と「職場のワンオペ化」という構造課題: 両立のハードルとして、男女問わず「業務量」「長時間労働」「突発的な業務」の3つが大きな壁となっていることは、まさに「職場のワンオペ化」という構造的課題を如実に表していると感じると述べています。
-
求職者が求める「復職後のキャリア環境」と定着: 求職者は単に「育休が取れるか」ではなく、「長期的に両立しながらキャリアを築いていける環境か」をしっかり見極めようとしているとしています。こうした姿勢の発信は、採用活動だけでなく「入社後の定着や就労継続」においても極めて重要になってくると実感しているとのことです。
-
若年層男性における「主体的な育児意識」の実態: 「パートナー主体で良い」と考えている男性は15%にとどまっており、「育児は女性のもの」という意識はもはや少数派と言えます。実に85%もの男性が「自らも主体的に関わろう」としているのが、今の若い世代のリアルな意識であると指摘しています。
-
職場環境と家庭の「マイナスの相互作用」を解消する必要性: お互いの職場環境や社会の理解不足といった外的な要因が家庭に作用し、家庭内での偏りを生み、それがさらにキャリアへと影響する「マイナスの相互作用」が起きているとしています。こうした相互作用をプラスの方向に変えていくためにどうしたら良いか、という問いが投げかけられていると述べています。

この調査結果を転載する際は、出典が「厚生労働省委託事業「共育(トモイク)プロジェクト」」であることを明記くださいますようお願いいたします。





コメント