調査背景
近年、給与計算システムの導入は広く一般化していますが、現場では業務負荷の軽減が十分に実現されていないという実態があります。この背景には、人事労務と給与のデータが分離していることによる連携の壁や、システムが特定の業務フローに最適化されていることによる機能的な限界など、現在のシステム環境が抱える構造的な課題があると考えられています。
LayerXは、このようなシステム環境が現場の給与計算業務にどのような影響を与えているのかを明らかにするため、本調査を実施しました。
調査結果サマリー
1. 給与計算システム導入済みでも約半数の企業が、月次締めに1週間以上を要する
給与計算システムを活用している企業において、締日から給与締めが完了するまでの期間を尋ねたところ、48.3%が「5営業日以上(1週間以上)」と回答しました。一方、即日〜2営業日で完了する企業は12.2%にとどまっています。

2. 月次締めが早い企業と遅い企業で、月次締め長期化原因の最も大きな差となるのがシステム間の“データの断絶”
給与締めの期間が縮まらない原因を、「5営業日未満」の企業と「5営業日以上」の企業で比較した結果、「給与計算システムに外部データを取り込む手作業の集計が発生しているため」という回答に最も大きな差が見られました。5営業日未満の企業では16.4%だったのに対し、5営業日以上の企業では37.4%と、21.0ポイント高い結果となっています。

3. “データの断絶”を人が埋める。86.6%がExcel等で「データの二重管理」を実施
給与計算システムとは別に、検算やデータ加工、管理などの目的でExcelやスプレッドシートを併用している業務があるか尋ねたところ、86.6%が「ある」と回答しました。特に、「システムの計算結果を検証するための検算Excel」(45.0%)、「異動等の将来の変動情報を適用月まで管理する備忘録Excel」(43.6%)、「自治体別の住民税や履歴を管理する住民税・変更履歴Excel」(32.0%)が上位を占めています。

4. 社員情報変更もシステム外で管理。48.6%がシステムの機能不備を人力で補完
昇給、住所変更、扶養変更などの「社員情報の変更」が決定した際の、給与システムへの反映方法について質問したところ、「変更データをExcel等に別途蓄積しておき、適用月になったタイミングで手動転記、またはCSVで一括取り込み」が36.4%、「メモやチャット、メール等に記録を溜めておき、月末の給与計算時期にまとめてシステムへ入力している」が12.2%となりました。これらを合わせると、48.6%がシステムの機能不備を人力で補完していることがわかります。

5. 確定前チェックのシステム完結はわずか1割。89.4%が目視などのアナログ業務を実施
給与計算結果の確定前チェック業務について、システムで完結していると回答したのはわずか10.6%でした。残りの89.4%はアナログでのチェックを行っており、主に「給与データと人事データをそれぞれCSVで出力し、検算Excelで一致するか検証」(67.1%)や「全社員分を目視で確認・読み合わせしている」(45.9%)といった作業を実施しています。

6. 給与計算システムを導入し、二重管理や目視チェックを実施しているにもかかわらず、48.1%が「給与明細の誤り」に関する問い合わせが複数発生
直近1年間で「勤怠の未打刻」や「マスタの更新漏れ・遅れ」が原因で実際に発生した事象について尋ねたところ、「従業員から『給与明細の金額が間違っていないか』という問い合わせが複数発生した」が48.1%で最多となりました。その他、「支給後の『遡及計算(次月での差額調整)』や、システム上でのリカバリー処理(再計算・再確定)が必要になった」(46.8%)、「給与の支給漏れや過払い(誤支給)が発生し、対象の従業員へ個別に謝罪・説明した」(35.1%)といった事象も多く報告されています。

まとめ
今回の調査により、給与計算システムを導入している企業においても、約9割(86.6%)がExcel等での二重管理を行い、89.4%が目視やCSV突合による確定前チェックを実施している実態が明らかになりました。しかし、これほど膨大なアナログ業務を行っているにもかかわらず、約半数(48.1%)の企業で給与明細の誤りに関する問い合わせが複数発生している状況です。
これらの結果は、現場の担当者がどれほど注意深く確認を重ねてもミスを防ぎきれない原因が、担当者のスキルや努力不足ではなく、システム側の構造的限界にあることを示唆しています。従来の給与・労務システムが「人事マスタと給与マスタなど、データが分離している」ことや、「未来の適用月予約や過去履歴の保持ができないデータベース構造になっている」ことが、“データの断絶”を生み出し、現場に目視検証や手作業での補完を強いています。このようなシステムの構造的な欠陥が、人間の努力だけでは事故を防げない状況を作り出していると考えられます。
LayerXが提供する「バクラク」では、分断されがちな人事・給与データをシームレスにつなぐ統合的なシステム環境を通じてこの課題に向き合い、AIと協働して安心・スムーズに給与計算業務が完結する、新しい働き方を提案しています。
本調査結果の詳細は、以下よりダウンロードできます。
https://bakuraku.jp/resources/how-to/payroll_survey_closing_procedures_3/?utm_source=bakuraku_pr&utm_medium=pr&utm_campaign=pr_times&utm_term=260803&utm_content=survey_labor





コメント