人材課題は「新規確保」より「定着」へ
企業の中途採用担当者に、自社の人材課題として「新規人材の確保」と「人材の定着」のどちらに強い課題感を持っているかを尋ねたところ、「人材の定着(50.9%)」が「新規人材の確保(25.8%)」を25.1ポイント上回る結果となりました。企業は外部からの人材確保よりも、内部での人材定着を重視していることがうかがえます。
また、「若手の早期戦力化」と「シニア人材の活用」の課題比較では、「シニア人材の活用が進まない(44.2%)」が「若手の早期戦力化が進まない(28.7%)」を15.5ポイント上回りました。このことから、企業の人材課題は新規採用数の確保だけでなく、在籍人材や採用人材の「定着」「活用」「戦力化」へと広がりを見せていると考えられます。

2025年の賃上げ実施率は約8割、若手ほど高水準
2025年の企業の賃上げ実施率は、20代から50代の全年代において約8割程度となりました。年代別では「30代」が81.7%で最も高く、次いで「20代(80.8%)」でしたが、年代間の差は5ポイント未満にとどまっています。
一方で、賃上げ率を詳細に見ると、4%以上の「高水準」とされる賃上げの割合は「20代(27.1%)」が最多で、次いで「30代(24.5%)」となりました。「40代・50代」は各20.8%にとどまり、「20代」との差は6.3ポイントです。賃上げ自体の実施率に年代差は少ないものの、賃上げの水準では若い年代ほど高水準である傾向が見られました。
賃上げの水準については、厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」でも詳細が確認できます。

従業員への教育投資が増加、企業規模で差が顕著に
リスキリングを含む従業員の教育訓練費への投資状況について、2025年に「1万円以上投資した(計)」企業は83.5%と、前年(79.2%)より4.3ポイント増加し8割を超えました。年間の平均投資額も全体で208.6万円となり、前年(165.0万円)より43.6万円増加しています。
従業員数別に見ると、「301~1000名」と「1001名以上」の企業では9割以上が投資している一方で、「3~50名」の企業では63.2%にとどまり、企業規模による投資状況の差が明らかです。特に、従業員数「1001名以上」の企業は平均投資額が431.1万円となり、中小企業や準大手を200万円以上も上回っています。技術革新が進む中で教育投資の重要性が高まる中、この投資額の差が採用や人材定着の課題感にも影響する可能性が考えられます。

8割以上の企業が「ビックステイ」の日本到来を予想
アメリカでは、同じ会社に留まる労働者の年間賃金上昇率が、転職する労働者の賃金上昇率を上回る「ビッグステイ(Big Stay)」と呼ばれる現象が見られています。この現象について、日本の企業の採用担当者に日本でも同様に到来するかを尋ねたところ、84.8%が「来ると思う(計)」と回答し、「3年以内に来ると思う(計)」割合は52.0%と半数を超えました。
特に、2025年に賃上げを実施した企業では、「来ると思う(計)」が88.3%、「3年以内に来ると思う(計)」が55.7%となり、賃上げしていない企業よりもいずれも約20ポイント高い結果となりました。


日本にビッグステイが来ると思う理由としては、「日本独自の雇用慣行・人手不足・働き方改革が主因になり得る」「同じ会社に永く勤めた方が退職金も含めて多く稼げるから」「企業が離職率を下げる目的で、ある程度の期間、就業している社員に対し給与を上げていく可能性がある」といった意見が見られました。

調査担当者コメントと今後の展望
マイナビキャリアリサーチラボの主任研究員である関根貴広氏は、労働市場での人手不足による採用難が続く一方で、企業が「新規確保」よりも「定着・活用」に課題を感じていることを指摘しています。また、賃上げの動きが広がる中でも、企業規模によって賃上げ水準や教育投資額に差が見られることから、こうした「手厚さの違い」が人材の定着や制度改革にどう影響するかが今後の焦点となりそうです。
さらに、中途採用担当者の多くが「ビッグステイ」の日本到来を予想しているものの、企業が求めているのは賃金要因による単なる定着ではなく、成長を伴う定着であると分析しています。今後は、評価や配置も含めた処遇・育成の見直しを伴う「日本版ビッグステイ」が来る可能性も考えられます。企業には、若手だけでなくシニア層の活用も含め、処遇や育成方法を検討し、単に残るだけでなく戦力として残る人材を増やす取り組みが求められるのではないでしょうか。
本レポートの詳細は、以下のURLから確認できます。
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260414_109490/
調査概要
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調査期間:予備調査・本調査一体型:2025年12月17日(水)~12月22日(月)
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対象者:従業員数3名以上の企業において、直近(2025年1~12月)に中途採用業務を担当しており、「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者 1,500名





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