企業規模を問わず、属人化とマニュアル不備が顕著に
今回の調査では、企業規模を問わず、マニュアルや手順など現場の仕組みが十分に整っておらず、業務が属人化している実態が明らかになりました。従業員300名以上の企業においても、「特定の人にしかできない」属人的な業務が59.2%に上り、マニュアルや手順が整わず「どう動けばいいか分からない」経験をしたことがある人は57.7%に達しています。これは、企業規模が大きいからといって現場の仕組みが整っているとは限らない現状を示しています。

業務標準化の取り組み状況を見ると、従業員数300名以上の企業では業務フローや手順書の整備が進んでいるものの、300名未満の企業では59.1%が「特になし」と回答しており、属人化が起こりやすい状況がうかがえます。
さらに、マニュアルの形骸化も深刻な課題です。300名以上の企業でも「3年以上更新されていないマニュアルが存在する」が43.6%、「マニュアルはあるが誰も見ていない」が43.1%に達しており、マニュアルが現場で活用されていない実態が浮き彫りになりました。

現場の属人化と「どう動けばいいか分からない」経験
現場で「特定の人しかできない業務」や「その人の経験や勘に頼った業務」がどの程度あるかという質問に対し、従業員数300名以上の企業では59.2%、300名未満の企業では58.0%と、組織の規模に関わらず多くの属人的業務が存在することが明らかになりました。

また、マニュアルや手順が整っておらず、現場で「どう動いていいか分からない状態」を経験したことがある人は、300名以上の企業で57.7%、300名未満の企業で42.1%に上ります。組織が大きいほど、業務上の迷いや認識のずれが広範囲に波及する可能性が示唆されます。

業務で困った際の確認方法としては、「上司・先輩に直接聞く」が63.8%で最多となり、「マニュアル・手順書を見る」は25.7%にとどまっています。自己解決ではなく、依然として個人への口頭確認に依存している実態が明らかになりました。

非効率がもたらす成長実感とモチベーションへの影響
業務中の時間ロスによるストレスを感じているメンバー層ほど、仕事を通じた成長実感を持てていない割合が高いことが分かりました。特にモチベーション低下や転職意向がある層では、約7割が成長実感を持てていません。この結果は、現場の非効率が単なる時間コストの損失にとどまらず、従業員のモチベーション低下や離職に影響を及ぼしうることを示唆しています。

経営層と現場の認識ギャップ
現場のオペレーション効率化において、経営層との間に認識のズレを感じている管理職は70.3%に上ります。また、経営主導で導入されたシステムやツールが現場で機能せず、かえって負担が増えた経験がある管理職も60.7%に達しています。

ツールやシステムを現場で機能させるために必要なこととしては、「現場の実態に合ったツール選定」(41.2%)と「現場の意見を導入前に十分に聞くこと」(31.6%)が上位に挙げられました。「良かれと思った施策」が現場の混乱と負荷を増幅させる可能性があることが示唆されます。

労働人口減少への危機感と対策状況
今後の労働力不足により、今の仕組みではこれまでの生産性や品質を維持できなくなる危機感について、経営者・役員の75.8%が「維持できない・不安がある」と回答しています。しかし、労働人口減少への対策を「できていない」と答えた経営者も40.1%に上り、危機感と対策の実行状況にギャップがあることがうかがえます。

対策として最多に挙げられたのは「業務効率化ツールの導入」(54.9%)ですが、対策が進まない理由として「予算・コストの制約」(29.3%)、「人材不足」(28.0%)、「効果的な対策方法が分からない」(25.0%)が上位を占めています。方向性は見えていても、実行に踏み出せない企業が多い実態がうかがえます。

「選ばれる職場」の条件は「仕組み化」
働きたい・長く働き続けたい職場の条件として最も多く選ばれたのは、「誰かが休んでも現場が回るように標準化されている」(50.2%)でした。「困ったとき、人に聞かなくても自分で解決できる仕組みがある」(39.3%)も上位に入っており、採用・定着の観点からも、業務の仕組み化が重要な課題であることが示されています。単に人を増やす・育てるだけでなく、誰でも一定の成果を出せる環境を整えることが、これからの職場づくりにおいて重要です。

「個人の努力」ではなく「仕組み」による解決が必須
経営者・役員の66.7%が、個人の努力に頼らず、「仕組み」で課題を解決する新しい標準の必要性を「必要である」と回答しました。現場で発生している非効率や混乱は、個人の工夫だけでは解消しきれない構造的な課題となっており、組織としての「仕組み(標準)」への転換が強く求められている実態が明らかになっています。

考察:持続可能なオペレーション改善には「仕組みづくり」が不可欠
本調査から、多くの企業で現場の仕組みづくり(標準化)が十分に進んでおらず、属人化が想定以上に広がっていることが読み取れます。その結果、時間ロスにとどまらず、成長実感を損ない、人材の定着を妨げるといった負の連鎖につながりやすいことも示唆されます。
労働人口減少が進む現代において、個人の努力に依存し続けることは困難です。現場では日々の業務遂行や教育対応を優先せざるを得ず、マニュアル整備や仕組みづくりまで手が回らないケースも少なくありません。この課題を乗り越えるためには、現場負荷の高い業務構造の見直しや、マニュアル整備・更新、点検やナレッジ管理といった運用を、AIなどを活用しながら支える仕組みづくりを進めることが有効であると考えられます。このような打ち手を通じた、個人の努力に依存しない仕組みづくりが、持続可能なオペレーション改善において必要不可欠です。
スタディストが提唱する「リーンオペレーション」
株式会社スタディストは、「オペレーションから、働き方と未来を変えていく」をミッションに掲げ、企業の持続的な成長を支援しています。同社が提唱する「リーンオペレーション」とは、業務の「ムリ・ムダ・ムラ」を取り除き、効率化で生まれた余力を「価値強化」に再投資して組織全体の生産性と持続的な成長を実現する、継続的な改善プロセスです。
スタディストは、マニュアル作成・共有システム「Teachme Biz」等に加え、業務アセスメントやマニュアル作成代行、研修などを組み合わせたハンズオン型のサービス提供を通じて、お客様の生産性向上とリーンオペレーションの実現を支援しています。
-
スタディストについて: https://studist.jp/
-
リーンオペレーションについて: https://studist.jp/our-vision
調査概要
-
調査名称:業務実態把握調査
-
調査期間:2026年2月12日〜2月16日
-
調査対象:製造・小売・卸売・サービス業等の現場経営者・役員/管理職/従業員 1,233名
-
調査方法:インターネット調査
関連リンク
-
調査報告書全文: https://d3hszuitxs3pnr.cloudfront.net/doc/studist_inefficiency_survey.pdf
-
調査結果の概要(コーポレートサイト): https://studist.jp/insight/report_260514





コメント