採用と育成の分断が招く課題
労働力人口の減少や生成AI、DXの浸透により、多くの職務が『新しい価値創造型業務』へと変化する現代において、採用部門と育成部門のプロセスが分断され、配属後の成長支援が現場に依存する『機能分業型の人材マネジメント』は限界を迎えつつあります。この構造的な分断は、入社後のギャップや「成長実感の欠如」を引き起こし、結果としてミスマッチや早期離職、さらには“静かな退職”を招く大きな要因となっているのです。
本レポートは、この課題を乗り越えるため、有識者や先進企業への独自インタビューに加え、コンソーシアム第5期の「C/O人財の採用課題と打ち手」分科会における実践的な研究成果を反映しています。採用から育成・活躍までを一本の線としてつなぐ全体最適の「タレント・サプライチェーン・マネジメント思考」を提言し、環境変化に応じて自らの価値を更新し続ける「キャリアオーナーシップ人材(C/O人材)」をいかに惹きつけ、活躍に導くかについて体系化しています。

「タレント・サプライチェーン・マネジメント思考」とは
「タレント・サプライチェーン・マネジメント」とは、AIの急速な進展や産業構造の変容により「必要な人材像」が変化し続ける現代において、事業の未来を実現するために、人材の確保・育成・配置・活躍を一本の流れとして設計・運用する人材経営の考え方です。
この概念は、製品のサプライチェーンが需要から逆算して全体を最適化するように、「いつ・どのような人材を・いかなる形で確保・活用するか」を事業の方向性から構造化します。新卒採用による長期育成、社員のリスキリング、中途採用による即戦力確保、外部専門人材の機動的な活用を組み合わせながら、経営戦略の進展に即応する動的なポートフォリオとして全体を最適化するものです。
人材を受動的な「リソース」として考えるのではなく、キャリア主体としての個人の自律性(キャリアオーナーシップ)を制度設計に組み込むことで、変化への対応力を組織の内側からも生み出します。これは、人材と組織の関係を「管理」から「共創」へと転換する、これからの時代に対応するための視点と言えるでしょう。
本レポートの特徴
本レポートには、以下の特徴があります。
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守島基博教授/服部泰宏教授および先進企業(カルビー株式会社)への独自インタビュー: 人材マネジメント研究の第一人者である守島基博教授(学習院大学)と服部泰宏教授(神戸大学)に加え、先進的な取り組みを行うカルビー株式会社へ独自にインタビューを実施。「Buy・Build・Borrow」の視点や、現場と協働する「10プロセス研修」など、令和の「採用と育成の接続」に関するリアルなインサイトが収録されています。
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分科会のインタビュー調査に基づく先進企業の事例(エーザイ・ロート製薬): コンソーシアム第5期「C/O人財の採用課題と打ち手」分科会が実施した「定着率90%超」の企業に対する調査結果を基に、エーザイ株式会社の「成長設計で選ばれる採用」や、ロート製薬株式会社の「経営戦略の翻訳としての採用広報」など、実践的なノウハウが紐解かれています。
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明日から使える「6つのTips」「6つの転換」「6つの実践ポイント」の提示: 採用と育成の分断を越えるため、ハイパフォーマーを起点に要件定義やオンボーディングを一気通貫で設計する「ハイパフォーマー起点で設計する6つのTips」に加え、採用・育成・現場が対等に人材戦略を設計する「『三位一体設計』で実現する6つの転換」、そして人材をサプライチェーンの視点で捉え直す「『統合設計』で実現する6つの実践ポイント」など、現場ですぐに活かせる具体的な提言が収録されています。
「採用と育成をつなぐ人財戦略」概要
本レポートの目次の一部を以下に示します。
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はじめに (永島 寛之 氏)
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第1章 キャリアオーナーシップの時代
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第2章 応募したくなる令和の採用要件定義
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第3章 入社後に早期活躍・定着する社員の見抜き方
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第4章 人材が求めるキャリアオーナーシップ
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おわりに 「採用が、組織を変えるイニシアチブを持つ時代へ」(伊藤 剛)
発行元はキャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム、監修は永島 寛之氏と伊藤 剛氏、制作協力はPAX株式会社です。2026年6月9日に発行され、全27ページで構成されています。
レポートは以下のURLからダウンロードできます。
https://co-consortium.persol-career.co.jp/article/2026/06/09/index.html
監修者コメント
本レポートの発行にあたり、監修者のお二方からコメントが寄せられています。
永島 寛之氏(トイトイ合同会社 代表社員 / 元ニトリホールディングス 人事責任者)は、「環境変化に応じて自らの価値を更新し、主体的に学び続け、組織と対話しながら新たな価値を生み出す力、それを持つ人材を引きつけ、採用できるかどうかが、企業の未来を左右します。企業の成長の軌跡と、個人のキャリアにおける成長の軌跡が重なったとき、人は会社を辞めません。本書が、採用という仕事が組織変革のイニシアチブを持つための一助となれば幸いです。」と述べています。
伊藤 剛氏(パーソルキャリア株式会社 / コンソーシアム総合企画プロデューサー)は、「採用担当者は育成を学び、育成担当者は採用を学ぶ。原材料を調達し、商品へと加工し、消費者に届けるサプライチェーン・マネジメントのように、採用から育成・活躍・定着・昇格や再配置までを一本の流れとして俯瞰できるのが令和の人事パーソンです。採用とは、人材を「採る」だけでなく、組織の未来を「作る」営みです。本書を手にした採用に関わる一人ひとりが、その変化の担い手となってくれることを願っています。」と語っています。
「キャリアオーナーシップ」とは
キャリアオーナーシップとは、個人が自身の「キャリア」に対して主体性を持って取り組む意識と行動を指します。経済産業省の報告書では、「個人一人ひとりが『自らのキャリアはどうありたいか、如何に自己実現したいか』を意識し、納得のいくキャリアを築くための行動をとっていくこと」と説明されています。
また、同省の「人材版伊藤レポート」では、企業には多様な働き方を可能にし、働き手の自律的なキャリア形成やスキルアップ・スキルシフトを後押しすることが求められ、個人にはキャリアオーナーシップを持ち、主体的な意思で働く企業を選択することが求められると報告されています。詳細については、キャリアオーナーシップ リビングラボのウェブサイトをご参照ください。
https://co-livinglab.persol-career.co.jp/knowledge.html
「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」について
本コンソーシアムは、「個人の主体的なキャリア形成が、企業の持続的な成長につながる」という考えに基づき、業種や業界を超えて「はたらく個人と企業の新しい関係」を模索する企業が集まる実践共同体です。「キャリアオーナーシップ人材を活用し、企業の中長期的な成長を生み出していくには、どうしていくべきか?」という問いについて、議論・実践・検証を行い、各社内および社会に対して提言を行っています。
首席顧問は法政大学キャリアデザイン学部・大学院教授の田中 研之輔氏、次席顧問はトイトイ合同会社代表で元ニトリ人事責任者の永島 寛之氏です。2025年度は、41の企業・団体が参画し、活動を行っています。
コンソーシアムの詳細は以下のURLから確認できます。
https://co-consortium.persol-career.co.jp/
活動内容
コンソーシアムでは、個人と企業の成長を両立する「はたらくの未来」に必要なことについて、企業の暗黙知・実践知を集約し、形式知化しています。具体的には、キャリアオーナーシップ人材を軸とした人的資本を最大化する実践論(キャリアオーナーシップ経営)を体系化し、その社会実装を前倒しすることを目指しています。
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研究会: 先進的な企業の実践知を集約し、コンソーシアムで議論を通じて気づきと企業への提言をまとめ、外部に公開しています。第5期では、人的資本経営におけるキャリアオーナーシップ実装と組織戦略との接続、採用課題と打ち手、AI活用による人事の変革課題など、具体的なフレームワークや打ち手を策定し、各社内での実践に活かしています。
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実践・検証: 参画企業各間で議論して実践内容を決定し、相互に実践し、その結果を検証しています。過去には、相互副業による人材の越境検証や、キャリアオーナーシップ経営の推進状態を測定するツール「C/O経営スコア」の導入実証などが行われました。
本レポートは、企業の採用・育成戦略を見直し、変化の激しい時代に対応する組織づくりに貢献する貴重な一冊となることでしょう。





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