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新入社員のワーク・エンゲイジメント向上には「ネガティブ・フィードバック」も鍵に、アトラエとリーディングマーク組織心理研究所が共同調査

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研究背景

人手不足が深刻化する中、新入社員の早期離職防止は企業にとって重要な経営課題です。この課題解決策として、活力と熱意、没頭を伴い仕事に対するポジティブで充実した心理状態を表す「ワーク・エンゲイジメント」の向上が注目されています。しかし、新入社員を対象とした具体的なアプローチは十分に確立されていませんでした。

本研究では、新入社員のワーク・エンゲイジメントを高める鍵として「上司のフィードバック」に着目しました。フィードバックの種類や、仕事から求められる要件と自分の能力との適合感(D-A fit)を通してワーク・エンゲイジメントが高まるメカニズムが分析されています。

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研究概要

本研究では、営業職の新入社員59名を対象に、入社直後、2ヶ月間の集合研修終了時、店舗配属3ヶ月後にアンケートを行う縦断的調査が実施されました。アンケートは、上司のフィードバック(ポジティブ/ネガティブ)、仕事に必要な要件との適合感(D-A fit)、ワーク・エンゲイジメントの3つの要素で構成され、構造方程式モデリングを用いて分析されました。

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研究結果

分析の結果、フィードバックがD-A fitを通してワーク・エンゲイジメントに関係するプロセスは、入社後の時期によって異なる仕組みがあることが判明しました。

  • D-A fitは、入社後時間が経つにつれて個人差が大きくなりました。

  • 研修期間中は、ポジティブフィードバックとD-A fitとの間に正の関連が認められましたが、D-A fitはワーク・エンゲイジメントとは関係していませんでした。

  • 店舗配属後は、ネガティブフィードバックとD-A fitとの間に正の関連が認められ、D-A fitもワーク・エンゲイジメントと正の関連がありました。

ネガティブ・ポジティブフィードバック、D-A fit、ワークエンゲージメントの関係を時系列で示すパス図

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組織づくりへの提言

本研究では、新入社員の育成期間を「集合研修期間」と「配属3か月間」の2つの時期に分け、ワーク・エンゲイジメント向上につながるフィードバックの種類を分析しました。その結果、時期によってワーク・エンゲイジメント向上につながるフィードバックの種類が異なることが明らかになっています。

特に、現場配属後の新入社員に対しては、単に褒めるだけでなく、伸びしろを説明し能力を習得させるために行う「ネガティブ・フィードバック」もワーク・エンゲイジメントを高める起点となることが分かりました。

今後の組織づくりに重要であると考えられる要点は以下の3点です。

  1. 「能力向上への実感」が重要です。
    フィードバックが直接ワーク・エンゲイジメントを高めるのではなく、フィードバックによって能力が高まり「仕事の要求水準に到達できている」と認識できることで、初めて高いワーク・エンゲイジメントへとつながります。ネガティブフィードバックとポジティブフィードバックとを組み合わせながら、能力を伸展させる必要があるといえます。

  2. 「ネガティブ・フィードバック」の価値があります。
    新入社員の心理的負担への配慮からポジティブな称賛が中心になることがあるかもしれませんが、能力を高めるためにはネガティブ・フィードバックによる課題の明確化や能力の向上も必要です。関係性を構築した上で、課題についても真摯に話し合う必要があるでしょう。
    このようなフィードバックにより、新入社員は「仕事に必要な能力(Demands)」と現在地である「自分の能力(Abilities)」との差を適切に認識するとともに、差を埋めることでD-A fitを獲得し、結果として高いワーク・エンゲイジメントへとつながると考えられます。

  3. 柔軟なキャリア支援の必要性があります。
    分析の結果、D-A fitは時間の経過に伴い個人差が大きくなっていました。配置配属のミスマッチによる早期離職を防ぐためには、他職種への配置転換なども考慮できる、柔軟な組織体制の構築が望ましいと思われます。

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研究主任者コメント

Wevox/R&Dチームの眞鍋一水氏は、本研究について次のようにコメントしています。

「この研究は、はじめて仕事に就く新入社員の人たちにとって、新しい環境で力を発揮するためにはどのような関わりが必要かを調べたものです。上司からの2種類のフィードバックに着目して調査・分析した結果、伸びしろを伝えるネガティブ・フィードバックが、仕事に必要な要件との適合感(D-A fit)の変化を通してワーク・エンゲイジメントにつながることがわかりました。ネガティブフィードバックとポジティブフィードバックとのバランスや、上司と部下との人間関係の構築、ネガティブフィードバックの伝え方など考慮すべき点も多いですが、ただ良いことを伝えるだけではなく、伸びしろを話し合うことも大切であるといえます。また、ネガティブフィードバックを行う際には、伝えて終わりではなく『どうすればよいのか』を説明するなど、能力向上につながるアドバイスや助言が求められるでしょう。」

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関連情報

本研究が発表された学会の詳細は以下の通りです。

  • 学会名:産業・組織心理学会 第41回大会 (https://www.jaiop.jp/taikai41)

  • 期間:2026年9月5日〜6日

  • 標題:新規学卒者に対する上司のフィードバックとdemands abilities fit,ワーク・エンゲイジメントとの関連

  • 発表者:株式会社アトラエ Wevox/R&Dチーム 眞鍋一水、株式会社リーディングマーク組織心理研究所 山田圭介・佐藤真美華・佐藤映

People Tech事業を展開する株式会社アトラエのプロダクト「Wevox」へのお問い合わせはこちらです。

(引用文献)

  • Cable,D.M. & DeRue,D.S.(2002).The convergent and discriminant validity of subjective fit perceptions.Journal of Applied Psychology, 87,875-884.

  • 井上真帆・國江慶子・武村雪絵・市川奈央子・木田亮平(2021).「知覚された多側面の個人-環境適合」を測定する日本語版適合感尺度の開発:看護職における妥当性と信頼性の検証.日本看護科学会誌,41,692-700.

  • Momotani, H. & Otsuka, Y. (2018). Reliability and validity of the Japanese version of the Feedback Environment Scale (FES-J) for workers. Industrial Health, 57, 326-341.

  • Schaufeli,W.B. & Bakker,A.B.(2004). Job demands, job resources,and their relationship with burnout and engagement: A multi-sample study. Journal of Organizational Behavior,25,293-315.

  • Schaufeli,W.B.,Shimazu,A.,Hakanen,J.,Salanova,M. & De Witte,H.(2019). An ultra-short measure for work engagement. European Journal of Psychological Assessment,35,577-591.

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