改正労働安全衛生法と「認知機能」
2026年4月1日に施行された「高年齢者の労働災害防止のための指針」では、高年齢者の特性として配慮すべき項目に、筋力・バランス能力等と並んで「認知機能の低下等」が初めて明記されました。これにより、すべての業種の事業者に対し、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善や作業管理等の措置を講じることが努力義務とされています。
この指針では、具体的な把握手法として体力チェックの継続実施やオンラインツール・質問紙による推定の活用が挙げられていますが、具体的な手法やツールまでは指定されていません。そのため、多くの企業が「何から始めればよいか」を模索しているのが現状です。
労働災害の現状を見ると、職場における転倒災害は年間約3.6万件(令和5年度)発生しており、高年齢労働者の労働災害発生率は若年層と比較して男性で約2倍、女性で約4倍に上ります(厚生労働省「高年齢者の労働災害防止のための指針」関連資料より)。製造業の現場においても、身体機能だけでなく認知機能の変化が作業安全に影響を及ぼすことが指摘されています。
法定指針施行からわずか3ヶ月半での取り組み
「高年齢者の労働災害防止のための指針」の施行(2026年4月1日)からおよそ3ヶ月半となる2026年7月、カルビー新宇都宮工場ではすでに認知機能の見える化に着手しています。多くの企業が対応方法を模索する段階にある中、同工場は既存の健康増進イベントの枠組みを活用することで、大きな体制変更を伴わずに対応を進めた点が特徴です。
健康増進イベントに認知機能の見える化を追加
カルビー新宇都宮工場では、もともと高年齢従業員の健康増進や健康意識向上を目的としたイベントを企画していました。今回、指針の施行を踏まえ、50歳以上の対象従業員144名に対し、既存の骨密度測定に加えて、脳体力トレーナーCogEvoによる認知機能チェックを合わせて実施しました。

この取り組みは、骨密度という「身体面」の指標に加え、CogEvoによる「認知面」の指標を合わせて把握することで、身体と脳の両面から高年齢従業員の健康状態を可視化する試みです。
実施の詳細は以下の通りです。
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実施日:2026年7月13日(月)〜7月17日(金)の1週間
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対象工場:新宇都宮工場(栃木県宇都宮市)
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対象:50歳以上の従業員144名
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実施内容:骨密度測定+脳体力トレーナーCogEvoによる認知機能チェック
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所要時間:CogEvoは1回約5〜10分、タブレットで実施
CogEvoは、空間認識力・見当識・記憶力・計画力・注意力という5つの認知機能を、約5分のゲーム形式のタスクで定量的にチェックできるクラウドサービスです。「認知機能検査」ではなく「脳体力」という呼び方を採用しており、対象者が心理的な抵抗を感じにくい設計になっています。
CogEvoを選んだ理由
新宇都宮工場では、以下の点を評価し、CogEvoの導入を決めました。
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タブレット一つで、1回約5~10分というオンライン完結の手軽さ
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ゲーム感覚で脳体力を測定できる心理的障壁の低さ
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単発のイベントプランで継続的なモニタリングも検討できること
「把握する」と「配慮する」をつなげる一気通貫のパッケージ
指針は「高年齢者の特性に配慮した措置を講ずるよう努める」ことを求めていますが、認知機能をどう把握し、把握した後に何をすればよいのかまでは指定していません。多くの企業が「具体的に何から着手すればよいか分からない」という課題を抱えているのはこのためです。
CogEvoは、この「把握する」から「配慮する」までを一つながりのプロセスとして提供する点に特長があります。
ステップと内容
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見える化:5つの認知機能(空間認識力・見当識・記憶力・計画力・注意力)を約5分でスコア化します。
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気づき:スコアをもとに、現場で起こりやすい困りごとの傾向を確認できます(例:注意力=確認作業での見落とし、空間認識力=転倒・接触のリスク要因)。
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対応:各機能に応じたセルフトレーニングの方法を合わせて提供し、日常生活の中でできる行動のきっかけにつなげられます。
例えば、産業現場における5つの認知機能の関わり方には、次のような傾向があります。

※上記は一般的な傾向の整理であり、個人の症状や疾患を診断・特定するものではありません。
このような「見える化→気づき→行動のきっかけ」までを一連のパッケージとして提供することで、企業は特別な専門知識がなくても、指針が求める「特性に配慮した作業管理」への対応を具体的な一歩として進めることが可能です。
データ活用と従業員の反応
CogEvoの測定結果は管理画面からCSV形式で出力できます。今後、こうしたデータを他の労働環境データ(勤怠・健康診断結果等)と組み合わせて分析することで、職場ごとの労働環境改善の検討材料をさらに広げられる可能性があります。
イベントはゲーム感覚で取り組める内容のため、従業員からも好意的に受け止められ、スムーズに実施できました。合わせて、工場としても、従業員一人ひとりの特性を客観的なデータとして把握する機会となり、指針が求める「特性に配慮した作業管理」への対応を、現場レベルで一歩前に進める取り組みとなりました。
カルビー株式会社 東日本事業本部 新宇都宮工場 副工場長の武士謙一氏は、「指針が施行されてすぐ、既存の健康促進の取り組みに認知機能の見える化を組み込めないか検討しました。骨密度に加えて脳の状態も定量的に把握できたことで、従業員一人ひとりの健康を多角的に捉えるきっかけになったと感じています」とコメントしています。
今後の展望
カルビー新宇都宮工場では、今回得られたデータを分析しながら、従業員にとって働きやすく、かつ安心・安全に働ける現場づくりにつなげていく方針です。今後は、認知機能の見える化を単発のイベントで終わらせず、継続的な取り組みとして根づかせていくことを検討しています。
高年齢者の労働災害防止指針の施行から間もない中、製造業の現場において、健康増進の取り組みに認知機能の見える化を組み合わせた今回のような事例は、同様の対応を検討する他工場・他企業にとっても参考になるものと考えられます。
「脳体力トレーナーCogEvo®」シリーズについて
「脳体力トレーナーCogEvo®」は、脳のリハビリテーション分野の知見をもとに開発された、認知機能のチェックとトレーニングができるツールです。空間認識力・見当識・記憶力・計画力・注意力といった「脳体力」を、17種類のトレーニングで楽しく継続的に鍛えることができます。
その有用性は複数の査読付き臨床研究により実証されており(詳細:https://cog-evo.com/evidence/)、標準的な認知機能評価尺度MMSEとの高い相関をはじめ、注意機能・ワーキングメモリ・遂行機能の改善や、自発性・活動性の向上が報告されています。APIおよびシステム連携により他社サービスへの組み込みが可能な設計で、「認知機能トレーニングの標準エンジン」として多分野の企業・プラットフォームに採用されています。
株式会社トータルブレインケアについて
株式会社トータルブレインケアは、医療・介護分野から生まれた認知機能評価の知見をもとに「脳体力トレーナーCogEvo®」を開発・提供しています。「脳体力の見える化」を通じて、人々が主体的にQOLの向上と真の健康を手に入れ、生涯現役を実現することを目指し、健康経営・スポーツ・モビリティ安全など多分野でヘルスケアソリューションを展開しています。
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会社ホームページ:https://tbcare.jp/
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製品ホームページ:https://cog-evo.jp/





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