調査結果のハイライト
離職者の60.3%が制度利用後に離職
介護離職者のうち、60.3%が介護休業、介護休暇、時短勤務、フレックスタイム、テレワークのいずれかを利用したうえで離職に至っていました。特に介護休業の利用率は、過去の離職群(11.6%)から現在の離職群(26.5%)へと約2.3倍に上昇しており、制度活用が進む一方で離職を止めきれていない実態が明らかになっています。

図1:介護離職状況別 介護目的の制度利用の比較(白書p.15より)
管理職層でも離職が発生
経営層・管理職の現在の離職群では、80.3%が何らかの制度にアクセスできていました。一般社員の57.6%と比較しても高い利用率であるにもかかわらず離職に至っており、制度アクセスだけでは管理職層の就業継続を支えきれていない可能性が示されています。
「家族で介護すべき」という意識の上昇
「要介護者に関わる介護は、他人ではなく家族で行うべきだ」という意識は、2020年の25.7%から2025年には33.8%へと8.1ポイント上昇しました。離職者ほどこの意識が強く、現在の離職群では48.0%にのぼります。制度面が充実し、利用が促進される一方で、「家族で抱え込む」という価値観が強まっている可能性があり、本白書ではこれを「親孝行の呪い」と表現しています。
介護開始から1年未満での離職が依然として過半数
介護を理由に離職した人のうち、介護開始から1年未満で離職した割合は、2020年の51.1%から2025年には58.7%へと7.6ポイント上昇しました。仕事と介護の両立において、最初の1年が最も離職リスクの高い期間であることが明らかになっています。

図2:介護離職までにかかった年数(2020年vs2025年比較/白書p.37より)
会社のみへの相談では不十分、専門家への接続が鍵
相談先別の分析では、会社のみに相談していた群は異動転職率が46.1%と高く、サポート満足率は相対的に低い結果でした。一方、家族と専門家(ケアマネジャー等)の双方に接続できた群では、高負担状況下でも精神的・物理的サポート満足率が7割以上を維持していました。企業に求められる役割は、「介護の問題を解決すること」ではなく、「専門家と家族へのハブ機能」を果たすことにあると提言されています。
白書からの提言
本白書では、介護離職は根本的には制度を利用するだけでは防ぐことができず、「介護に対する意識(介護観)」が問題の根幹にあると指摘しています。「介護は家族が近くにいて行うべきもの」というアンコンシャスバイアス、すなわち「親孝行の呪い」とも言える価値観が、家族による過度な介護参加を生み出し、結果として離職へとつながっていると考えられます。
企業には、制度を整えるだけにとどまらず、従業員の介護観を問い直す機会を能動的に提供することが求められています。従業員が介護に直面してから制度利用を促すのではなく、直面する前から介護観を変えるプッシュ型の取り組みこそが必要であるとされています。
調査概要
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調査名:介護離職白書2026 制度は進んだ。離職は減ったか。
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調査主体:NPO法人となりのかいご
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調査手法:インターネット調査
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対象者条件:20歳以上・男女・就業経験あり、介護開始時に就業中、10年以内に介護関与開始
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サンプル数:2,573ss
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調査期間:2025年8月25日~9月10日(追加サンプル回収:2025年12月4日~22日/追跡回答:2025年12月1日~19日)
NPO法人となりのかいごについて
NPO法人となりのかいごは2008年に市民団体として設立され、2014年にNPO法人化しました。介護支援コンサルティング事業や普及啓発事業を展開しています。代表理事の川内 潤氏は、厚生労働省の委員や国会の参考人などを務め、介護に関する複数の著書を執筆しています。
※本リリースに記載されている数値・コメント・図表は、すべて「介護離職白書2026」(NPO法人となりのかいご発行)に基づいています。





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