現場マネージャーがAIで自らシステム開発、全社員を開発者にする組織へ
大企業向けのシステム導入支援や業務効率化コンサルティングを手がける株式会社Grantは、米Anthropic社のAIエージェント「Claude Code」を全社員に配布するプロジェクトを進めています。この取り組みは、2026年2月の役員層への配布から始まり、2026年6月1日には希望する全社員へAIエージェントが開放される予定です。
「情シス待ち」によるロスタイムをなくし、現場の課題を迅速に解決する「全員が開発者」の組織体制が構築されることを目指しています。

現場主導のシステム開発で業務課題を解決
この取り組みの大きな特徴は、現場のマネージャー層が自らAIエージェントを活用し、業務ツールを内製している点にあります。株式会社Grantでは、基幹システムの構築は専門チームが担当する一方で、顧客対応やチーム運営における現場の課題に対しては、プログラミング経験のないマネージャーがAIの支援を受けながらアプリケーション化を進めています。
例えば、クライアントからの問い合わせを自動で管理表に起票・通知する仕組みや、社員のメンタル不調を早期に検知する仕組みなど、現場のニーズから生まれた実用的なツールが次々と稼働しています。

取り組みの3つの特徴
このプロジェクトは、以下の3つの特徴を持っています。
1. 「マネージャー自らが創る」AIによる現場主導の爆速DX
従来の「情報システム部門に要望を出して待つ」のではなく、現場の課題を最もよく理解しているマネージャー自身が、AIエージェントをアシスタントとして活用し、ツールを開発しています。専門知識がなくても、AIとの対話を通じて要件定義から実装までを行うことで、圧倒的なスピードでの業務改善を実現しているとのことです。
2. 経営層から現場へ――段階的な「背中を見せる」展開
AI導入において「ツールを配布しても現場で使われない」という課題に直面することが少なくありません。株式会社Grantでは、経営層やマネージャー層がまず自ら日常業務でAIを使いこなし、システム開発まで行うことで成功体験を蓄積しています。そのノウハウと熱量をトップダウンで現場へ展開する方針を採用しているそうです。
3. 「基幹システム」と「現場ツール」のハイブリッド開発体制
株式会社Grantの「AI研究所」が全社横断的な基幹システムの開発とガバナンスを担い、一方で現場のマネージャーが個別最適化された業務ツールを迅速に開発するという、双方向の体制が構築されています。これにより、個別の業務課題を即座に解決するアジャイルな現場開発と、全社の基盤を支える堅牢な基幹システムの両輪を回す体制を実現しているとのことです。

現場の課題から生まれた「内製ツール」の例
具体的な内製ツールの例として、以下のようなものが挙げられます。
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メンタルヘルス早期検知システム: 日々の業務コミュニケーションやログの変化から、社員のメンタル不調の兆候をAIが検知します。これにより、管理職による迅速なフォローが可能となり、持続可能な働き方を支援します。
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問い合わせ自動起票・統合管理ツール: 顧客からの問い合わせをAIが解析し、自動で管理表への起票と担当者への通知を完了させます。複数案件の状況をリアルタイムで統合・可視化し、トラブルの予兆を捉えることができます。
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業務フロー自動生成エージェント: ヒアリングメモや議事録を入力するだけで、標準的な業務フロー図を瞬時に生成します。これにより、コンサルタントのドキュメント作成時間を大幅に削減します。
今後の展望
株式会社Grantは、自社を「AI活用の実験場」と位置づけ、この「非エンジニアによる開発ノウハウ」を体系化する方針です。今後は、自社で実証済みの内製ツール群と導入メソッドを、DXに課題を抱えるクライアント企業へ外販ソリューションとして提供することも視野に入れ、実用化を進めていくとのことです。





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