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睡眠6時間未満で抑うつリスクが上昇:産業医科大学 中田教授とニューロスペースが共催セミナーのアーカイブを公開

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長時間労働とメンタル不調、鍵は「睡眠」にあり

株式会社ニューロスペースは、産業医科大学の産業生態科学研究所教授である中田光紀氏を招き、オンライン共催セミナー「従業員のメンタル不調を予防する睡眠とマインドフルネスの技術」を開催し、その内容をアーカイブ動画と解説記事として公開しました。本セミナーでは、長時間労働とメンタル不調の関係を労働時間の長さだけでなく「睡眠」の観点から深掘りし、企業が実践できる具体的な睡眠対策について解説しています。

セミナー告知

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企業における睡眠対策の優先順位が上昇

政府の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」において、睡眠対策を含む健康経営の推進が明確に示されました。また、健康経営度調査では、これまでの生産性低下防止に関する施策の一部であった睡眠が、「睡眠の質向上に向けた取り組み」という独立した評価項目として位置づけられることとなりました。

骨太方針2026と健康経営調査票の改定

しかし、多くの企業からは「残業時間を削減し、ストレスチェックや産業医面談も実施しているにもかかわらず、メンタル不調による休職者が減らない」という声が聞かれます。本セミナーは、このような課題に対し、研究知見から答えを出すことを目的として開催されました。

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セミナーの主な内容

1. 長時間労働とうつの関係は一貫していない

長時間労働が直接的にうつ病を引き起こすという因果関係は、これまでの研究では確立されていません。複数のメタ分析が行われていますが、週50時間以上の労働では統計的に有意な上昇が認められず、週55時間以上でようやく抑うつ症状の発症が約1.14倍という結果にとどまっています。WHOも、長時間労働が抑うつを引き起こす十分なエビデンスはまだないとしています。

中田教授は、この背景には、これまでの研究が労働時間とうつを直接結びつけて分析し、その間にある「睡眠」という変数を十分に扱ってこなかった点があると指摘しました。

労働と睡眠の関係図

2. 睡眠6時間以上で長時間労働による抑うつリスクは上昇せず

中田教授が米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)在籍時に実施した研究では、約3,700名の中小企業従業員を対象に、労働時間と睡眠時間を組み合わせた解析が行われました。

その結果、睡眠を6時間以上確保できている群では、1日の労働時間が8〜10時間、あるいは10時間超となっても、抑うつの有病率に統計的に有意な上昇は認められませんでした。一方で、睡眠が6時間を下回る群では、労働時間の長さに応じて有病率が上昇する傾向が示されました。また、主観的に睡眠不足を感じている人では、抑うつリスクが約2倍になるという結果も得られています。この研究は、精神医学分野の学術誌「The Journal of Clinical Psychiatry」に掲載され、同誌の継続医学教育(CME)対象論文にも選定されました。

労働時間と睡眠時間の組み合わせと軽度抑うつの関連
労働時間と睡眠時間の組み合わせ

3. 「まあまあ眠れている」段階で既にリスクは上昇

睡眠の充足感を「十分に眠れている」「まあまあ眠れている」「睡眠不足」の3段階に分けて解析したところ、「まあまあ眠れている」と回答した群でも、すでに抑うつリスクの上昇が認められました。この結果から、企業は従業員に「まあまあ眠れている」状態ではなく、「十分に眠れている」と自覚できる状態を目指すべきであるという実務的な示唆が示されました。

睡眠不足と抑うつリスク

4. 睡眠が短くなると心の回復に関わる睡眠が削られる

セミナーの第2部では、株式会社ニューロスペース代表取締役社長の小林孝徳氏が、睡眠の生理メカニズムと企業の対策について解説しました。

睡眠時間が短縮すると、身体の回復を促す深いノンレム睡眠よりも、心の休息やストレス解消に関わるレム睡眠が優先的に削られる傾向があります。これにより、ストレスが処理されずに蓄積し、バーンアウトにつながる可能性があります。また、職場で観察できる前兆として、レム潜時の短縮、中途覚醒・早朝覚醒による睡眠の分断化、平日と休日の睡眠リズムの大きなずれ(社会的ジェットラグ)などが挙げられました。

5. 企業が実践できる対策

企業が取り組める具体的な対策として、業務負担の最適化、勤務間インターバル制度の活用、仮眠環境の整備と心理的安全性の醸成、個別面談における傾聴・共感・選択肢提示の順序など、組織・制度・個別対応の3層にわたる多角的なアプローチが提示されました。特に、費用をかけずに実行できる対策として、睡眠不足の日を連続させないために週の半ばに早帰りの日を設定する運用が紹介されています。

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登壇者のコメント

産業医科大学 医学部 公衆衛生学 教授 中田光紀氏

中田光紀教授
中田教授は、「なぜある労働者は長時間労働で不健康になり、一方でそうならない人がいるのか。この問いに向き合ってきた結果として見えてきたのは、睡眠という変数の重要性です。今後は『スリープエンゲージメント』を提唱したいと考えています。悪い睡眠ではない状態を目指すのではなく、より良い睡眠を積極的に取りにいく。人間らしい質の高い労働生活を実現するために、この視点が重要になるでしょう」と語っています。

株式会社ニューロスペース 代表取締役社長 小林孝徳

小林孝徳社長
小林社長は、「これまで200社以上の企業を支援してきた中で、『やれることはやっているのに不調者が減らない』というご相談を何度も受けてきました。その答えが、中田先生の研究に明確に示されていました。睡眠は個人の生活習慣の問題として語られがちですが、従業員が眠れていない理由の多くは業務設計や評価制度、マネジメントのあり方にあります。休職してからの対応ではなく、眠れなくなる前の介入へ。企業の施策の重心を移していくために、本セミナーの内容と中田先生が提唱する『スリープエンゲージメント』を広く共有したいと考えています」と述べています。

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まとめ

ニューロスペースは今後も睡眠の専門機関として、人々の睡眠課題の改善を通じて、労働安全衛生、メンタル不調予防、生産性向上、そして健康経営の推進を支援していく方針です。睡眠施策の実施に関心のある企業は、以下の問い合わせ先まで気軽に連絡してください。

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