プロジェクトの目的と社会的価値
本プロジェクトの目的は、実データに基づく人事・組織課題の探求と、学生の実学的な分析スキルの向上にあります。学生は提供されたデータを活用し、「職務満足と愛着を高める要因」や「ワーク・エンゲイジメントを高める職場風土」、「キャリア成果を高める要因」といった組織人事の課題を分析しました。具体的には、職場環境や職務志向性が職務満足感や個人年収、転職回数などに与える関連性を統計分析によって客観的に導き出し、実務的な示唆を提示しました。
分析報告会の概要
分析報告会は2026年7月16日に西南学院大学で開催されました。西南学院大学人間科学部心理学科の田原ゼミ3年生が発表を行い、株式会社アスマークが協力しました。

プログラムは以下の構成で実施されました。
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田原ゼミの概要
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分析発表①:冬生まれグループ「職務満足と愛着を高める要因は何か」
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分析発表②:ハットトリックグループ「ワーク・エンゲイジメントを高める職場風土は何か」
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分析発表③:なんでやねん☆グループ「キャリア成果を高める要因は何か」
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質疑応答・フィードバック

学生発表内容の詳細
なんでやねん☆グループ:職務志向性とキャリア成果の関係性分析
このチームは、個人の職務に対する向き合い方(職務志向性)が、個人年収や転職回数といったキャリアの成果にどのような影響を及ぼすのかを分析しました。
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仮説の起点: 仕事に意欲的な姿勢が年収増加に繋がり、非積極的な姿勢は年収が頭打ちになり転職回数も多くなるのではないかという仮説に基づいています。
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主な分析手法: 職務志向性の傾向を「意欲志向」と「非積極性」に分類する因子分析、年齢や勤続年数をコントロールした上での階層的重回帰分析、年収の「頭打ち」を検証するための多項式回帰分析が用いられました。
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主な提言: 分析の結果、「仕事に意欲的な人ほど年収が高く、消極的な人ほど年収が低く転職回数が多い」という直線的な傾向が実証データから確認されました。企業の人事・マネジメントにおいては、従業員の「職務への意欲」を引き出す施策に加え、「非積極的な態度」を示す層を客観的データから早期に検知し、適切なフォローを行うことが不要な離職の防止に重要であると提言されました。
チームハットトリック:ワーク・エンゲイジメントと職場風土の分析
このチームは、社員の「ワーク・エンゲイジメント(仕事への活力・熱意・没頭)」や「プロアクティブな職務態度(主体的な行動や問題意識)」を高めるために、どのような職場風土や施策が影響を与えるのかを分析しました。
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仮説の起点: 「良好なマネジメントや職場風土(上司への信頼・円滑な人間関係)」が醸成され、「不適切な対人関係(ハラスメント等)」が少ない職場ほど、社員のエンゲイジメントや主体的な職務態度が高まるのではないかという仮説に基づいています。
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主な分析手法: 職場環境の構成要素を「良好なマネジメント・風土」と「不適切な対人関係」に分類する因子分析、複合要因が「ワーク・エンゲイジメント」や「プロアクティブな職務態度」に与える影響を特定する階層的重回帰分析、職場風土と対人関係が相互に与える影響を検証する交互作用効果の分析が用いられました。
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主な提言: 根底にある「上司への信頼やチームワークといった良好な職場風土」が極めて重要であることが統計的に実証されました。企業の人事施策においては、形だけの制度拡充に留まらず、組織内の人間関係や風土を定量データ(ES調査等)で捉え、適切なエンゲージメント向上策を打つことの重要性が示唆されました。
冬生まれグループ:職務満足と愛着を高める要因の分析
このチームは、社員の「職務満足感(働き続けたい意向)」と「自社への愛着(貢献実感や推奨意向)」に対して、職場環境や人事制度、仕事の充実度がどのように影響を与えるのかを分析しました。
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仮説の起点: 快適なオフィス環境や福利厚生などの「職場環境」、給与や研修などの「人事制度」といった会社側の施策が充実しているほど、社員の職務満足感や会社への愛着が高まるのではないかという仮説に基づいています。
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主な分析手法: 仕事の充実度に関する項目を「職場の成長志向」「職務自己効力感(仕事への手応え)」「自己像所有感(自社での未来像)」に分類する因子分析、性別や年収の影響をコントロールした上で、各要因が「自社への愛着」や「職務満足感」にどれほど寄与しているかを解明する階層的重回帰分析が用いられました。
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主な提言: 設備や制度といった「職場・環境要因」よりも、「自分が組織に貢献できている感(自己効力感)」や「この会社で働く将来像が描けること(自己像所有感)」といった個人の内面的な要因のほうが、愛着や職務満足感により強く影響することが統計的に実証されました。企業の人事施策においては、福利厚生や設備を整えるだけでなく、個々の適性に合わせた業務アサインや振り返りを通じて社員の「自己効力感」を高める取り組みが不可欠であると結論付けられました。
参加した学生の振り返り(一部抜粋)
学生からは、以下のような声が聞かれました。
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仮説を立てる段階で特に重視して議論したことや、視覚的に分かりやすい資料作成を意識したこと。
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分析結果の解釈に悩んだが、授業資料や参考書を読み解くことで乗り越えられたこと。
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想像できないほど大きなサンプルサイズと多岐にわたる質問項目を分析したことで、必要な視点を養うことができたこと。
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企業と大学が連携することで、学内ではできない規模の貴重な経験ができ、専門家からのフィードバックを得られることに大きな意義を感じたこと。
田原 直美 先生(人間科学部 教授)へのインタビュー

分析報告会後、西南学院大学人間科学部の田原 直美 先生にインタビューが行われました。
Q. 先生が現在取り組まれているテーマや重点分野をご紹介ください。
A. 専門は社会心理学、産業・組織心理学です。現在は、職場におけるコミュニケーション、チームのあり方、心理的安全性、葛藤、ワーク・エンゲイジメントなどをテーマに研究しています。また、企業や組織での研修などを通して、組織の中で人がどのように協働し、よりよいチーム活動につながるのかという点にも関心を持って取り組んでいます。
Q. 今回の講義は、学生にとってどのような意義があるとお考えでしょうか。学生が得られる学びや期待される効果についてお伺いします。
A. 今回の取り組みでは、学生が実際の企業データをもとに、自分たちで分析の切り口を考え、仮説を立て、結果を解釈する経験を得ることができました。授業で学んだ調査法や統計分析の知識を、実践的なデータに適用することで、心理学の学びが社会や企業活動とどのようにつながるのかを具体的に考える機会になったと思います。
Q. 特に印象に残ったことや、企画の進め方など、率直なご感想をお聞かせください。
A. 学生たちが、データの内容を丁寧に確認しながら、自分たちなりに問いを立て、分析を深めていったことが印象に残っています。一般的な通説や当初の予想とは異なる結果が得られた場合にも、その結果をどのように解釈できるのか、またデータ収集や変数設定においてどのような工夫や注意が必要なのかを考える機会となりました。最終報告では、学生たちが自分たちの力で分析を深め、完成度の高い報告へと仕上げていたことが印象的です。
Q. 今後の研究や教育現場において、調査会社がどのように貢献できるとお考えでしょうか。
A. 大学では調査方法や統計分析の基礎を学びますが、実際の企業データに触れ、実務的な観点から助言をいただく機会は非常に貴重です。調査会社の皆様には、質の高いデータの提供だけでなく、調査設計、データの見方、結果の報告の仕方、実務上の解釈の留意点などについて、学生が実践的に学ぶ機会を引き続きご提供いただけると大変ありがたく思います。
関連リンク
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西南学院大学 人間科学部 心理学科 心理学科カレンダー: https://www.seinan-gu.ac.jp/psycho/news-detail.php?id=164
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被験者募集支援・リクルート代行: https://www.asmarq.co.jp/monitor_recruit/tester/
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大学・研究機関向けの学術調査(アカデミックリサーチ): https://www.asmarq.co.jp/academic/
株式会社アスマークについて
株式会社アスマークは、「生活者の意見を正確にお客様にご提供すること」をミッションに、業界最大規模のモニター基盤を活かしたマーケティングリサーチ事業を展開しています。ISO認証を取得した厳格な管理体制のもと、徹底したパネル品質管理とプロによる企画から分析までを一気通貫で提供しています。また、マーケティング活動に役立つリサーチセミナーを年間200件以上開催して情報発信するほか、リサーチ技術を応用したHR Tech事業も展開し、クライアントの事業成長と組織活性化の両面を支援しています。
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